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《カルロス・ゴーン問題》長引く勾留にブラジルも疑問視か=ブラジル政府の尽力求める家族=日本の〃独特〃な捜査手法も紹介

日産自動車前会長カルロス・ゴーン容疑者(World Economic Forum)

日産自動車前会長カルロス・ゴーン容疑者(World Economic Forum)

 11月19日に金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで東京地検特捜部に逮捕された、日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者に関し、同氏への厳しい取調べ条件や、逮捕を繰り返し、勾留期間を延長する日本の検察の手法に、ブラジルでも疑問の声があがり始めていると、20、21日付伯字各紙が報じた。
 ブラジル北部ロンドニア州生まれのゴーン容疑者は、レバノン移民の三世で、ブラジル、レバノン、フランスの市民権を持つ。
 11月19日に逮捕された後、12月10日にも報酬過少記載疑惑で再逮捕されたが、東京地裁が20日に拘留延長を認めないとの決定を下し、保釈される可能性が高まっていた。
 しかし、東京地検特捜部は21日、会社法特別背任容疑でゴーン容疑者を再々逮捕した。これにより、勾留期間は延びる見通しだ。
 20日付ブラジル紙フォーリャ・デ・サンパウロは、「ゴーン容疑者の家族は、ブラジル政府に対し、日本側に釈放を働きかけるよう要請している」、また、「リオに住むゴーン容疑者の姉妹は、『日本の捜査当局から自白を強要されているはず』としてブラジル外務省に助けを求めている」と報じた。
 ゴーン容疑者の姉妹と接触を持った事を認めたブラジル外務省当局者からは、「同件がブラジル外務省にとって優先課題になった。ブラジル、フランス、レバノン3国共同で〃外交的働きかけ〃を行う事も検討されている。だが、いつ、どのように行うかについては、まだ何もまとまっていない」との情報も出ている。
 ただし、〃外交的働きかけ〃は、日本司法への干渉になり、ゴーン容疑者の立場をかえって悪くするのではとの懸念もブラジル外務省内部には存在する。フランスは、12月初旬にマクロン大統領が安倍首相に直接働きかけるなど、ブラジルよりも積極的だが、ブラジルの姿勢はまだ、「状況を注視し続ける」に止まっている。
 在東京ブラジル総領事館の職員はすでに、拘置所のゴーン容疑者を8度見舞い、健康状態を確認したり、家族の状況を知らせたり、衣類や毛布を差し入れたりしている。
 レバノンより地政学的に重要度が高く、日産とルノー社の関係から、中立性を疑われやすいフランスより、中立的な立場で、人道的見地だけで動いていると見られやすいブラジルが動く事こそが重要とゴーン容疑者の家族は感じているようだ。
 拘留開始から1カ月が過ぎ、ブラジル国内でも徐々に関心が高まっている。「弁護士の立会いも認められないまま深夜まで続く取調べ」「12キロ痩せた」「日本では、刑事裁判で一旦起訴されたら有罪率は99%」「被疑者の多くは自白」「(勾留延長に)高まる国際的批判」と、日本の検察、司法制度を批判する記事も出始めた。