《ブラジル》レナンの上院議長復活に暗雲=議長選が記名式投票に=投票議員にマイナスの可能性=MDBが数の上で有利も

19日に最高裁のマルコ・アウレーリオ判事が出した暫定令により、来年2月1日に行われる上院議長選で、レナン・カリェイロス上議(民主運動・MDB)の上院議長選での当選が危うくなったと、21日付エスタード紙が報じている。
19日に出た「2審判決有罪者の受刑を差し止める」とのアウレーリオ判事の暫定令は全国を騒然とさせたが、同判事はそれと同時に「来年2月の上院議長の選挙を記名制とする」との命令も出していた。
それは、レナン氏が既にボルソナロ次期政権に敵対する関係にあるためで、記名制にすれば、上院の中で誰が反対勢力側になるかがはっきりとわかるからだ。
レナン氏は大統領選のときからフェルナンド・ハダジ氏(労働者党・PT)の支持を明言していただけでなく、2013年から2期4年間にわたり、ジウマ政権下で上院議長をつとめている。ジウマ氏とはかなりの蜜月関係にあり、16年8月の上院でのジウマ氏の大統領罷免審理の際も、ジウマ氏の政治生命が絶たれてしまわないよう、選挙への出馬の権利などを認めるか否かの投票も行わせていた(結果、認められた)。
また、レナン氏は、ラヴァ・ジャット作戦で捜査を受けている身でもあるが、記名制で投票を行えば、票を投じた政治家が「汚職議員を支持した政治家」のイメージを持たれかねない危険性も生じる。
そうしたこともあり、ボルソナロ氏や同氏の社会自由党(PSL)にとって、レナン氏は「古い政治家」として扱われている。
だが、PSLは今回の上院選で4人しか当選者が出ず、多数派になれなかった。これが、上院議長選が混沌としている原因にもなっている。
現状では、上院議長候補には、レナン氏のほか、シモーネ・テベット氏(MDB)、タッソ・ジェレイサッチ氏(民主社会党・PSDB)、ダヴィ・アコルンブレ氏(民主党・DEM)、アルヴァロ・ジアス氏(ポデモス)、エスペリジアン・アミン氏(進歩党・PP)の名があがっているという。
現状としては、上院で最多(12人)の議席数を持ち、2001年から上院議長選に当選し続けているMDBの上議が有利なことには変わりはなく、過去の慣例からいくと「最多議席の党が指名する」ことにもなってもいる。だが、ボルソナロ氏の長男のフラヴィオ次期上議は、「国民は党ではなく人に投票する」として、この慣例に反対している。