ジャイール・ボルソナロ次期大統領が19年から下院でやろうとしている、「福音派」や「農牧族」などのグループ主体に票をまとめる方法は、政党で意見をまとめる従来型のやり方ほど効果的ではないと、25日付フォーリャ紙が報じている。
ボルソナロ次期政権では、連邦政府に各連立政党からの閣僚を配した上、連邦議会をこれらの多数票で支配する従来のやり方を行わない方針を打ち出している。この方法は、ルーラ政権時のメンサロン事件のように、連立政党の支持をとりつけるための贈収賄工作などが発生しやすいという問題点がある。
だが、ボルソナロ氏の社会自由党(PSL)は、下院で1位ながらも60人前後しかおらず、それだけでは511人いる下院はコントロールできない。そこで同氏は、議会内で作られ、政党の枠を超えた、テーマごとに集められた族議員グループによって票を集めようと考えている。
ボルソナロ氏への支持を表明している主なグループは、「福音派」や「銃所持自由化派」「農牧族」で、これらの議員グループは、198~299人と政党よりも人数が多い。同氏は、彼らをまとめれば議会内で有利な票を獲得できると考えている。
だが、現実はそう甘くないとフォーリャ紙は論じている。それは、ボルソナロ氏支持を表明している族議員グループが必ずしも同氏と同じような思想の持ち主とは限らないからだ。
現状で「福音派にも銃所持派にも農牧族にも属している」下議は61人に過ぎない。「福音と農牧」は25人、「銃と農牧」は86人、「農牧と銃」は58人いるが、「銃のみ」94人、「福音のみ」54人、「農牧のみ」55人と、「特定のテーマにしか興味がない」下議も多い。これでは、連邦政府の提案が彼らから常に一定の支持を得られるかどうかは保証できない。
また、特定のプロジェクトを15選んで、族議員グループごとの投票データを分析し、「グループ内での投票の統率力」を見たところ、農牧84%、銃79%、福音78%という結果が出ている。各プロジェクトでの賛同率が、85%~98%だった大型もしくは中型の政党よりは弱いと言わざるを得ない。
また、政党なら81%の支持を得た「労働法の改革」でも、族議員らの賛同率はいずれのグループも政党より低い。もっとも低い福音派では63%の支持しか得られていない。
これに関しては、「とりわけ経済問題などは政党の利害関係がものをいう領域なので、グループなどでは政党には太刀打ちできない」と、福音派グループのリーダー、ソステネス・カヴァルカンテ氏(民主党・DEM)も認めている。