国家水資源庁が19日に発表した年次報告「ブラジルの水資源の設定」によると、17年に干ばつの影響を受けた人は3800万人、水害被害者は200万人という。
同報告書によると、16年に降った雨は12兆9千億立方メートルで、内10兆2千億立方メートル分は蒸発したという。雨の一部は地中に浸み込み、地下水源に蓄えられるが、地表の川や水路に達するものもある。
アマゾンの森林地帯を共有する他の国々からの水も含め、アマゾン川の流域には5兆7千億立方メートルの水が流れている。ブラジル全土では、7兆4千億立方メートルもの水が川を下って行くという。
ブラジルは世界で最も淡水に恵まれた国の一つだが、水資源の分布は地域や季節によって大きな差がある。これらの要因は、水を利用する経済活動が川の流域ごとに違う事や、水質問題で抗争が起きる地域さえある事の原因でもある。
北東部、特にバイア州やセアラー州、ペルナンブコ州の乾燥地帯では、80%の人が何らかの形で干ばつの影響を受けたという。ブラジルでの干ばつの55・5%はこれら3州で起きている。
03年~17年は、ブラジル国内5570市中の2839市(51%)が、干ばつ故の非常事態や緊急事態を宣言した。また、人的被害が出るような干ばつは2551件報告された。この数は、同期間中に報告された水害(661件)の約4倍だ。特に17年は、干ばつの被害報告が他の年よりも多かった。
同期間中、水害で少なくとも1度、非常事態や緊急事態を宣言した市は48%の2680市だ。この内の89%(2375市)は北東部か南部、南東部にある。
17年だけ見ると、水害に遭った人は300万人に上る。洪水や濁流、浸水といった災害による人的被害の中で最も多いのは家屋への損失だ。死者や行方不明者、病人、負傷者は、人的被害者の5%に過ぎない。
ブラジル全域の降水量の平均は年1760ミリだが、北東部の乾燥地帯では年500ミリ以下のところがある。一方、アマゾンの湿地帯では年3千ミリを超えるところもある。ブラジル全土では毎秒26万立方メートルの水が流れているが、8割は、人口や水の需要が少ないアマゾンの森林地帯に集中している。
他方、気温が高い北東部は水源が限られ、乾燥地帯が生じる。セアラーやリオ・グランデ・ド・ノルテ、パライバ、ペルナンブコの4州には、同地方の乾燥地帯の88%が集中している。
同報告書では、経済活動の発展や市街地化により、2030年までの水の需要(取水量)は現在の需要より24%増えると見ているが、気候変動や人口増加は水源や水質の確保をより困難にするため、水の再利用を真剣に考える必要がある。
現時点で生産出来る非飲用の再利用水は毎秒2立方メートルだが、水資源庁は2030年までに毎秒13立方メートルに増やしたいとしている。もしこれが実現すれば、世界で使われる再利用水の4%を占める。現在の能力から見た5~10年後のブラジルの再利用水生産量は、毎秒10~15立方メートルと見られている。2030年までに毎秒10立方メートルの水を再利用出来るようにするために必要な投資額は40~60億レアル(年額3~5億レアル)と見られている。(20日付アジェンシア・ブラジルより)