ブラジル銀行(BB)、連邦貯蓄銀行(CAIXA)、社会経済開発銀行(BNDES)の、三つの国営銀行の総裁就任式が7日にブラジリアで行われた。ゲデス経済相はその席で、これまでは政府介入の影響を受けてきた国営銀行のあり方を変えていく方針を示したと、8日付現地各紙が報じている。
BB総裁にはルベン・ノヴァエス氏、CAIXA総裁にはペドロ・ギマランエス氏、BNDES総裁にはジョアキン・レヴィ元財務相が就任した。
「これまでの国営銀行は、政府介入により健全経営が行われず、また、民間に食いものにされたり、汚職、不正の温床になったりもしてきた。今日就任した3総裁は責任をもって、こうした体質を改めてくれると信じている」とゲデス経済相は語った。
ボルソナロ大統領(社会自由党・PSL)も、「透明性が最重要。『機密条項』として、記録開示を拒むことは許されない」と語った。
同大統領は、式典前に「BNDES内の〃ブラックボックス〃が暴かれ、内容も公開される」とツイートしていた。
ゲデス経済相も、国内外の超大手企業に不当な低利で貸し付ける、採算性の低い事業に貸し付けるなど、BNDESの過去のオペレーションには奇妙な点があると批判。「ボルソナロ政権では、公的銀行への政治介入や誤った資金投入は許されない」と語った。
大統領、経済相の言葉と同調するように、3人の新総裁は、過大な融資を避け、子会社の株や保有資産を売却、経営規模をスリム化して国庫への負債も解消する方針を示した。今後4年以内に、CAIXAは400億レアル、BBは80億レアルを国に返済する。
2012年、ジウマ労働者党(PT)政権は、国営銀行に低利での融資を強要した。だが、14年半ばに景気後退期に入ると債務不履行が増え、各行は融資資金を回収できなくなった。
当然、国庫への返済分に代わる資金源が必要になるが、CAIXAは、家屋購入向け融資と並行し、保険やカード、宝くじを強化する意向だ。BBも、投資ファンドや保険、個人や中小企業への融資などに注力する。
CAIXA新総裁のギマランエス氏は、「民間銀行から借り入れできる中流階級層はミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダを利用せざるを得ない低所得者層より高利を負担すべき」とし、BB新総裁のノヴァエス氏は、「中銀や経済省と、農村事業融資への補助金を削減し、農業保険を拡大することで合意が取れている」と述べた。
また、BNDES総裁に就任したジョアキン・レヴィ氏も、「BNDESは現在、国からの資金に依存しすぎている。仕事の進め方を再考し、健全な経営状態に戻さなければならない」とした。同行の金融部門担当理事は7日、今年は1千億レアルを国庫に返済できると述べている。