現在のブラジルサッカー界は、まだシーズンオフだ。だが、各州の選手権やリベルタドーレス杯が本格化しはじめるまでのこの束の間の間こそが、フロントにとっては最も忙しい時期となる。向こう1年間の戦力補強のための貴重な時期だからだ。ここでは、ブラジルリーグで目立つ補強についてみていく。
このオフに最も積極的な補強を行ったのは、サンパウロFCだ。2000年代の常勝チームも、この10年は全国選手権での優勝に見放され、ライバルのパルメイラスに水を開けられた状態が続いている。昨季も、ベテランのネネーやジエゴ・ソウザの加入で、前半はよかったが、後半は失速した。
今季はその反省も踏まえ、戦力補強を惜しまなかった。まず、2015年限りでセニが引退して以来、弱点だったGKに、メキシコリーグ、ケレタロで活躍していたブラジル人選手、チアゴ・ヴォウピを迎えた。さらに、センター・フォワード候補として、アトレチコ・パラナエンセで昨季4位の12得点を決めたパブロ、左サイドバック候補としても、昨季フルミネンセの期待の22歳、レオ・ペレを獲得した。
そして8日、2000年代の全国選手権3連覇の立役者、14年のW杯セレソン選手でもあるエルナネスが正式に復帰入団をした。かねてからサンパウロに強い忠誠心を持つことで知られるエルナネスは、中国の河北華夏に所属中の17年、サンパウロFCが2部降格危機瀕していた際にレンタル移籍加入。万能プレイヤーの彼は、チームの司令塔兼エースストライカーになり、短期間で9得点を記録。チームを危機から救う立役者となった。
18年は契約の関係上、中国リーグに戻ったが、今回晴れてサンパウロFCと3年契約。チームの精神的支柱として期待されている。
一方、昨季全国選手権優勝のパルメイラスも、補強にぬかりはない。既にリーグ屈指の選手層を誇っている同チームだが、今季はそこに、バイアの司令塔だったゼー・ラファエル、欧州移籍も噂されていた20歳のボランチ、前ヴァスコのマテウス・フェルナンデスを獲得など、積極的に動いている。
パルメイラスはさらに、中国の広州恒大で2度、最優秀選手に輝いているフォワードのリカルド・グラールを、3月に契約が切れ次第、獲得する意向ともされている。
この両チームの最大のライバル、コリンチャンスは昨季、資金難に苦しんだが、それでも17年の全国選手権優勝監督のカリーレ氏がサウジアラビアから復帰。さらに、グレミオの若手ミッドフィールダーのラミロや、メキシコリーグのレオンで130得点の実績のあるアルゼンチン人選手、マウロ・ボセッリを獲得した。
リオに目を移すと、この3年間、3位、6位、2位と好調で名門復活を印象付けているフラメンゴも積極的に補強を行っており、サンパウロFCから元ブラジル代表センターバックのロドリゴ・カイオを獲得。この他にも、クルゼイロとの契約更改交渉が難航しているウルグアイ代表のアラスカエタ、さらにサントスFCから昨季全国選手権の得点王、ガビ・ゴールことガブリエル・バルボーザの獲得も間近と言われている。
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