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大耳小耳

 俳誌『蜂鳥』344号が刊行された。《思ひ出せぬまま初夢の失せにけり》(富重かずま)は、皆に心当たりのある体験。《忘れてたお金見つかる春の服》(伊藤みち子)は、仕舞う前に洗濯をしていたら紙幣がバラバラになっていたかも。《春霞喉元過ぎてラヴァジャット》(高橋紫葉)では、春が来てポカポカして、もう自分は第十部「喉下過ぎて熱さを忘れ」たころに、ラヴァジャット作戦で冷や水がかぶせられる政治家のことか。《わが町は十月末の八重桜》(小松八景)を読んで、「エライ時期が遅いな」と思ったらサンタカラリーナ州ラージェス在住だった。標高も900メートルと高く、どうりで開花が遅れる訳だ。思えば日本が4月だから、ちょうど半年後。〃南半球の春〃らしい句だ。