ボルソナロ政権発足後、わずか1週間で、早くも交代人事が起こり、外務省傘下の国家輸出振興庁(APEX)のアレックス・カレイロ会長がエルネスト・アラウージョ外相(社会自由党・PSL)により更迭された。カレイロ氏は「ボルソナロ大統領だけが解雇できる」とし、その判断に反抗したが、結局は押し切られた。11日付現地紙が報じている。
ボルソナロ政権発足と同時に就任したカレイロ氏だったが、9日夜、アラウージョ外相が、「カレイロ氏が辞任を申し出た」として謝辞を述べ、「後任候補にはマリオ・ヴィラウヴァ氏を推薦した」との文書を出した。
だがカレイロ氏は「辞表を出した覚えはない」「人事権を持っているのは大統領だけだ」と主張し、10日もいつも通りに出勤した。
だが、ボルソナロ大統領が10日夜、ツイッターで「カレイロ氏の後任にヴィラウヴァ氏が就任する」と発表した。ヴィラウヴァ氏は同日、外相と共に大統領と会っており、3人で写った写真が、人事に関するツイッター以前にSNSに掲載されていた。
だが、この人事は物議を醸した。それは、カレイロ氏がボルソナロ大統領と同じ政党、PSLの党員であるためだ。
カレイロ氏はジウマ政権下で港湾局副局長に就任したことがあるものの、以前からボルソナロ氏や同氏の息子たちと親しい関係にあった。
所属政党も、ボルソナロ氏がPSLの前に大統領公認候補になりそうになった「パトリオッタ」だったが、最近になってPSLに移籍してきた。APEXの会長人事も、PSLの議員やボルソナロ氏の長男で、2月から上議に就任するフラヴィオ氏らの推薦で決まったものだった。
だが、カレイロ氏とアラウージョ外相が推薦したAPEXの理事の間で誤解が生じていたことが対立の火種となった。カレイロ氏の側近によると、同氏は9日に外相と会った際、APEXの渉外担当理事に任命されたレチシア・カテラーニ氏の人事に不満を漏らしたという。
レチシア氏は連邦政府の移行期にアラウージョ氏の補佐役をつとめた。それ以前は、PSLサンパウロ州支部で実権を握っていたが、内部抗争で同支部を追われた後、外相の補佐役に抜擢されていた。
レチシア氏はカレイロ氏と共にアラウージョ外相と会った際、カレイロ氏がAPEX就任後、1週間で18人の人事刷新を行ったことを不満に感じていると発言した。外相はこの席でカレイロ氏に辞表を出すよう求めたが、カレイロ氏がそれに従わずに退席したため、同日夜、冒頭のような文書が出たという。
なお、APEXの人事に関しては、外相に権限がある。