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《ブラジル》環境相がNGOとの契約を一時停止=修復不能な損失生む可能性も

NGOとの契約停止で修復不能な損失が生じる可能性が懸念される法定アマゾンの熱帯林(SIDNEY OLIVEIRA/AG. PARÁ DATA: 18.10.2017)

NGOとの契約停止で修復不能な損失が生じる可能性が懸念される法定アマゾンの熱帯林(SIDNEY OLIVEIRA/AG. PARÁ DATA: 18.10.2017)

 リカルド・サレス環境相が14日、環境省が管理しているファンド(基金)からの資金を受け取って活動している非政府団体(NGO)との契約を90日間停止する事を決めたと16日付現地紙、サイトが報じた。
 契約停止の目的は、環境省が管理する、気候基金、国家環境基金、法定アマゾン基金などが各団体に支払った資金の動きを確認するためで、資金援助の条件や援助期間、援助額などの全ての情報を分析し直すという。
 環境省は種々の情報分析後、各団体が活動を継続する条件を整えているか、賠償責任を問うべきかなどを判断する意向のようだが、不正が疑われるような契約や情報の有無などは、何も明らかにされていない。
 今回の契約停止は、昨年末に始まった新政権への移行作業中から続く、テメル政権下での契約や支出の内容の見直し作業の一環といえる。7日には、12月に締結した車両関係の運用・保守契約に関する疑問提起が引き金になった、国立再生可能天然資源環境院(IBAMA)の院長辞任問題も起きている。
 今回の契約停止とIBAMAの院長辞任との相違は、IBAMAが環境省傘下の公的組織であるのに対し、NGOは環境省が管理する基金から資金援助を受けている民間団体である事だ。
 今回の契約停止で影響を受ける例は、法定アマゾン内の環境保護区6千万ヘクタールを対象とする、世界最大の熱帯林保護プロジェクトのArpaなどだ。同プロジェクトには既に5億レアルが投じられている。
 環境省が停止した契約には、再植林や家族経営の農業振興などの活動に関するものも含まれている。これらの活動には、世界銀行や環境のための世界基金からの資金を運用する、生物の多様性のための全国基金(Funbio)などの援助を受けている団体の活動も含まれる。ノルウェーなどの国家や国際団体からの資金は社会経済開発銀行(BNDES)に一旦入金し、どの団体にいくら支払うかもBNDESが決めている。
 今回の措置後、各NGOは、「環境省には一方的に契約を停止する権利はない」などと苦言を呈しているが、環境問題や経済の専門家は、契約停止で活動が止まり、修復不能な損失が生じる事への懸念も表明している。