連邦政府の進める社会保障制度改革において、公務員、とりわけ軍人の扱いをどうするかは、改革法案を通過させるための大きな焦点となっているが、強い影響力を持つ経済学者パウロ・タフネル氏は「対象として含めないわけにはいかない」との持論を語っている。16日付エスタード紙が報じている。
ボルソナロ政権では、現行法の「勤続(積立)年数」という規定を外して、「受給開始年齢」のみで一括して行く方向で固まっている。ボルソナロ氏自身も「男性が62歳、女性が57歳から」との希望を公に口にしていた。
だが、軍関係者が「現在検討中の社会保障制度改革案の対象から我々を外してほしい」と訴えている。それは、軍人の仕事が他の一般的な労働者と比較して肉体的な重労働であるためだという。ボルソナロ政権では軍人の閣僚登用も多いため、軍関係者の発言力が強くなっている。
タフネル氏はその主張を「理解はできる」としている。同氏の解釈では「軍人の場合、若さが重要な要素で、35歳、40歳、45歳と年をとってしまったら、それまでのような仕事もできなくなる」とし、早期引退にも理解を示している。
だが、同氏は、「他の国の軍隊の例も数十カ国調べたが、早期に引退している例は確かにある」としながらも、「ブラジルでは、軍人が引退したら、年金が満額もらえる仕組みになっているが、そこが他の国の社会保障制度と異なるところだ。その点は修正する必要がある」としている。
タフネル氏は「通常の受給開始年齢になる前に引退するのなら、(受給期間が長くなる分)月々の受給額を減額する必要がある」と語っている。
タフネル氏は、早期の社会保障制度改革は可能だと楽観視しており、最終的な移行期間も10~12年だとしている。
一方、16日付フォーリャ紙によると、政府が反対意見に対処し、これまではなくすつもりでいた「勤続年数」を使った新しいアイデアを検討しているという。
それは「ポイント制」というもので、男性の達するべきポイントを110、女性のポイントは108とし、そこから「受給者の年齢+勤続年数+10(移行期ゆえのボーナス点)」を差し引いた数字を2で割ることで、「年金受給年齢にあと何年で達するか」を計算できるというものだ。