ブラジル日本語センター(日下野良武理事長)主催の「第20回日本語ふれあいセミナー」の開講式と20周年式典が14日午後5時、サンパウロ市のブラジル霊友会会館で開催された。同式典には、生徒の他にOBや同セミナー運営に関わった先生ら108人が参加し、節目の年を祝った。日下野理事長はポ語のあいさつで「20年続けてこられたのは、支えてくださった関係者のお陰」と感謝の想いを述べた。
日下野理事長はあいさつで「このふれあいセミナーが20年続けてこられたのも、佐藤吉洸先生や志村マルガレッチ先生をはじめ、支えていただいた皆様のお陰」と謝辞を述べ、「これまでのセミナー参加者は2千人以上となり、第一回目の参加者は35歳。ブラジル社会で頑張っている。皆さんもたくさん友達を作って、これからも日本語の勉強を続けてほしい」と生徒らに対する期待を述べた。
同セミナーは13歳から16歳までの日本語学校生徒が4日間の共同生活を通して、できるだけ日本語を使いながらお互いの親交を深めることを目的に毎年開催してきた。参加者は班に分かれてグループ寸劇、日本人学校との交流、東洋街見学などを行うもの。
ふれあいOBスピーチでは、第1回の2000年に参加した岩切隼人さん(36、二世)が「私はここで妻と知り合い、結婚して今は一児の父親になった」というエピソードを披露し、「日本語は自分の人生にとって、切り離せない大切なもの。日本語があったから、ふれあいセミナーに参加して妻と知り合え、今は日本語を使って会社を経営している」と日本語を使って活躍している様子を語った。
日下野理事長と共に同セミナーを始めた、佐藤評議員会第二副会長は、「生徒らが主体的に参加し、共同生活によって思いやり、礼儀、マナーなど日本文化の良いところを学んでもらうために始めた。このセミナーは、協力者が食事や会場を提供してくれることで成り立っている。何よりボランティアの先生方に感謝」と敬意を表した。
来賓には池田泰久副領事、国際交流基金サンパウロ文化センターの洲崎勝所長、文協の林まどか副会長、援協の園田昭憲副会長、県連の山田康夫会長らを迎え、日本語を学ぶ意義を力説する祝辞をのべた。
20年をまとめた記念動画の上映や、ケーキカットが行われた他、20年間で初めて生徒らが腐らない食糧を持ち寄り、援協に寄付をした。
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ふれあいセミナーでは、3人のOB・OGスピーチが行われた。本文でも触れた岩切さんと、菅原タイグゥアラさん(26、三世)、上野カロリーネ由加里さん(22、三世)だ。岩切さんが参加した第一回目は、参加者が約40人だったそうだ。日本語を流暢に話せたのは、岩切さんを含めて約10人。「そのうちの1人が今の奥さんで、すぐに気が合った」という微笑ましいエピソードを披露。日本で日本語が使えるのは当たり前だが、ブラジルだと「日本語ができる」というだけで、何か「共通の価値観を持っている」感じがするから不思議だ。また、菅原さんが参加した時は、約120人も参加者がおり、各地域の友人が出来て日本人が多く入植した町も知ったそう。上野さんは、現在日本の大学の卒業を控え、日本で就職先も決まっている。日本語を使って各地で活躍する若者の存在に「日本語を武器にしている人がいる」という心強さを感じた。