ベネズエラでは10日にニコラス・マドゥーロ大統領の第2期就任式が行われ、国内外の世論が二分されているが、21日早朝、国家警備隊員が「マドゥーロ氏を大統領とは認めるな」とのメッセージを流し、国家警察や国軍兵士らがこれらの警備隊員を逮捕する騒ぎが起きた。
インターネット上で流れたビデオは国家警備隊の本部の一つで撮影され、第3軍曹が「ここには現在の独裁体制に反対し、マドゥーロ氏を民主的な手段で選ばれた大統領とは認めないという立場をとる警備隊員が集っている。我々には国民の支援が必要だ。どうか、現体制に反対すべく、路上に繰り出して欲しい」と呼びかけている。ここでの「路上に繰り出す」は、23日に計画されている反体制派のデモをさしていると思われる。
ビデオの背景には、機関銃を抱えた隊員など、複数の人物が行き来しているが、銃声などは入っていない。
だが、このビデオに、体制派の警察や軍は強く反応。ビデオを作製した国家警備隊員らはペタレ市にある国家警備隊の本部の一つを強奪し、戦争時に使用する武器を盗んだ上、エージェント4人を誘拐した後に、カラカス市北部コチザにある、別の国家警備隊本部に立てこもったと断罪し、コチザの本部を包囲。関係者を逮捕した。
コチザの本部包囲は、体制派の特別作戦部隊や諜報部員、国軍兵らが出動して行われ、第3軍曹らは反乱を企てようとした首謀者として逮捕された。また、「盗まれた武器も無事に押収された」との発表も行われた。
他方、付近住民らは鍋や蓋を打ち鳴らして軍兵士らの行為に対する抗議の意を表すと共に、国家警備隊隊員らへの支援を表明した。また、路上に出て国家警備員らへの支持を表明した人々もいたが、軍兵士らは催涙ガス弾を放ち、住民を蹴散らそうとしたという。
国民議会のフアン・グアイド議長は、国家警備隊員らの行為を「国民の中に溜まっている現政権への不満の表れの一つ」と評価。「我が国の兵士達は、マドゥーロ氏の大統領職強奪により、命令系統が崩れている事を承知している。我々(国民議会)は、憲法を遵守するために必要な行為に参加する兵士には、彼らが必要とする全ての保障を与える事を約束する」とのツイッターを流した。
他方、国軍側は「国家警備隊員らの行為は治安関係者としてあるまじきもの」とした上で、「極右勢力に突き動かされ、憲法に則って定められた軍の規範に反する行動をとった。当然、処罰の対象となる」とした上で、状況は全てコントロールされており、反乱行為は平定化されたとした。
この日は、同国最高裁が今月5日以降の国民議会の決議(マドゥーロ氏の再選無効、同議会議長の大統領代行指名など)は全て無効との判決も下したが、国民議会はこの判決に対する抗議の意も表明している。(21日付アジェンシア・ブラジル、同G1サイトより)
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