ダヴォス会議=ボルソナロ・ブラジル大統領の基調演説は拍子抜け=社会保障改革語ったのはゲデス経済相=投資家へのPRに励む
ジャイール・ボルソナロ大統領は22日、スイスのダヴォスで行われている世界経済フォーラム(ダヴォス会議)で基調演説を行った。23日付ブラジル各紙が報じている。
ボルソナロ大統領の国際舞台での初演説は6分半ほどで、イデオロギーにとらわれない新しい国の創出、世界に開かれた経済体制の構築、治安回復、環境保護、より容易にビジネスを興せるような国の構造改革、観光促進を、政治や党派の論理でなく、能力重視で選んだ閣僚らと共に成し遂げると語った。
具体性を欠いた演説を補足するように、演台脇のダヴォス会議創設者クラウス・シュワブ氏が質問すると、初めて社会保障制度改革に言及した。
本来、ダヴォス会議の基調演説には質疑応答も含め45分の時間が確保されるが、ボルソナロ大統領の演説と、シュワブ氏の質問を含めても15分ほどで終了した。
イタウ・ウニバンコ社ラ米支部経営審議会議長のリカルド・マリーノ氏は、「大統領の演説は一般論に終始し、ブラジルの事を何も知らない人向けのガイダンス程度にしかならない」と評価した。
国際市場に向け、ブラジル政府としての強い意志、特に社会保障制度改革への意気込みを伝えたのは、パウロ・ゲデス経済相だった。同経済相は投資家たちとの昼食会で90分間、経済政策を披露した。同相は、社会保障制度改革には議会の理解や各州知事の助力も得られるだろうと語った。
その後開かれた、エンブラエルやネスレ、アルセロール・ミッタルなどの国際企業幹部らとの非公開の会合で、ボルソナロ大統領ら、諸閣僚は、2月の連邦議会開会早々に諸法案を提出する意向であることを表明した。しかし、同時に、社会保障制度改革が最優先課題ではあるが、議員たちとの交渉もあり、当初の予定通りの案にはならないかもしれないと、予防線を張る発言も行った。
反汚職法案、犯罪者の財産没収も視野に
「私は、汚職のはびこる深刻な国難の中、大統領に就任した」と演説したボルソナロ大統領が「国の汚職体質を改善するための適任者」と評したセルジオ・モロ法相も、パネル会議などに参加し、新政権のイメージアップ役を担った。
同法相は、「汚職や薬物密売、犯罪組織形成などで、違法に得られた資金で購入された物品を当局が没収できる」などとする法案も議会に提出する予定だ。
「汚職撲滅」は、ボルソナロ大統領の選挙公約の一つだ。モロ法相は18日にボルソナロ大統領に反汚職関連法案を提出したが、それらが全て採用され、政府の提出する法案に含まれるかははっきりしていない。