W杯まで5カ月を切った今でも試合会場となる12のスタジアムのうち6カ所(サンパウロ市、ナタル、ポルト・アレグレ、マナウス、クリチーバ、クイアバ)が未完成という状態だ。そんな中、しびれを切らしたFIFA(国際サッカー連盟)のジェローム・ヴァルケ事務局長が21日、クリチーバの「アレーナ・ダ・バイシャーダ」を視察して工事の大幅な遅れを確認し、同スタジアムを試合会場から外す可能性を示唆した。22日付フォーリャ紙が報じた。
同スタジアムについては、FIFAとスポーツ省の代表者も「もし建設作業が現在のペースで進んだ場合、W杯大会までには完成しない」と認めている。スタジアム改修の責任者であるアトレチコ・パラナエンセは「現在9割が完成している状態」というが、観客席はまだ15%しか設置されておらず、屋根も一部しか完成していない上に芝生も敷かれていない状態だ。建物の壁も内装が行われていない。
作業の遅れの理由を同チームは予算不足と説明した。工事には3億2600万レが必要だったのが、うち3900万レがアジェンシア・デ・フォメント(中銀が管理する州金融機関)から下りず、昨年12月になってから新たに6500万レの融資があったという。
FIFAは、フロリアノーポリスで各国のセレソン代表者と会合を開く2月18日まで待ち、そのときに判断するとした。これまではアトレチコ・パラナエンセが単独で工事を進めてきたが、これからは市、州政府、地元実行委員会の協力も仰ぐことになる。その会合の日までに建設作業を加速させ、FIFAにスタジアムが試合前までに完成することが可能だと示す必要がある。
同スタジアムでは4試合行われることになっている。本番まで5カ月を切った段階で試合会場から外した場合、スケジュールや他のスタジアムへの影響は必至で、混乱が予想されるため、FIFAとしては除外を避けたいところだ。
今後、工事費用が増えるかどうか、完成時期がいつになるかは未定だが、チームは作業員を新たに1千人増やし、1700人体制で工事に当たるという。州政府W杯担当局のマリオ・セルソ・クーニャ局長は、州政府として融資をする用意があると話している。
ヴァルケ事務局長は視察を行った21日、クリチーバで記者会見を行い、自らの発言を「作業を加速してもらうためのプレッシャー」とし、あくまで〃最終警告〃であることを強調した。もしクリチーバが試合会場から除外された場合は、新たに既存の会場を使う、もしくは他の11会場に試合を振り分けるという二つの選択肢がある。