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健康寿命への提言=在ブラジル日本国大使館 参事官兼医務官 岡本洋幸

岡本洋幸医務官

岡本洋幸医務官

 近年、寿命は延びてきています。一方で、寿命が延びることが必ずしも、幸せとは限りません。健康寿命という考えがあります。2015年のブラジル人の平均寿命は75歳、健康寿命は65・5歳になります。
 健康寿命とは介護や病気で入院する必要のない生活が送れる寿命になります。
 そのためには、①野菜などをしっかり食べること、②1週間に2回以上20分以上の運動をすること、③人生をポジティブに生きること、が重要です。以上の重要な3点につき、具体的に述べましょう。
①「野菜を食べるようにする」―最初に野菜から食べると血糖値の上昇がゆるやかになります。また抗酸化物質を含むブロッコリー(ビタミンC)、鮭(アスタキサンチン)もお勧めします。
 糖分の多い飲料水もなるべく避ける方が良いです。カロリーゼロの飲み物は、最初は、確かにカロリーゼロなのですが、時間とともに腸内細菌が、人工甘味料を分解出来るようになり、かえって血糖値が悪化したりするので注意が必要です。(日本人は、ワカメから腸内細菌が分解してエネルギーを得ることが出来ますが、欧米人は腸内細菌が分解出来ないためエネルギーを得ることが難しい様です。)
②「運動は、何歳からはじめても遅すぎることはないです」―筋力増加で、関節疾患や転倒、寝たきりを防ぎます。通常の歩行を少し早歩きにしてみる、こんなことでも効果があります。
 筋肉自体は、刺激を与えると必ず成長します。運動を日々の日課に取り入れて、成長していくことを楽しむのも良いかもしれません。
③「人の役に立つ活動や、趣味を持つことで、ストレスが軽減されます」―楽しい気分でいることは免疫に関するリンパ球NK細胞が活性化されます。あるいは温泉に浸かることでも同様の効果があります。またいろいろなことに興味を持つことは脳の活性化につながり、認知症になりにくくなります。
 ブラジルの糖尿病患者(国内死亡要因の3位)は、1400万人います。またその予備群は4000万人います。糖尿病になると神経障害(足の切断の可能性)、糖尿病網膜症(失明の可能性)、糖尿病性腎症(腎不全、透析の可能性)などの合併症に至る危険性があります。
 心筋梗塞や脳卒中のリスクも上がります。健全な食生活、適度な運動を継続することで生活習慣病と言われる糖尿病は十分に予防できます。以上のことを是非、明日からでも皆様が自覚されることを期待しております。
 ブラジル在住の皆様が永く健康でいられることを心より願っています。
 尚、この見解は個人の見解であり、所属する団体の見解ではありません。