国民に無料の公共医療サービスを提供する、統一保健医療システム(SUS)各機関に対し、精神病患者に電気ショックを与える器具を購入することを認める内容が、ブラジル保健省が今週発表した文書に含まれていたと8日付現地紙が報じた。
精神病や、アルコール、薬物依存症の患者への新規対処法を定めた32ページの文書には、精神病患者の身体的痛みの軽減法についても書かれている。「精神病患者の身体的痛みの軽減」は、ブラジルの医療行政で、30年以上に渡って議論されてきたテーマだ。
ルイス・エンリケ・マンデッタ保健相は、文書の存在すら知らないと答えた。取り扱いテーマが、「精神病や、薬物依存症の患者への対処法」である事を知らされると、保健相は、「例え苦痛を和らげるためとはいえ、精神病患者に電気ショックを与えるなんて事は、もっと議論が必要」と答えた。
ブラジリア大学のアンドレア・ガラッシ教授は「患者に電気ショックを与えることは、精神病治療分野においても、前例のないほど酷い後退措置。文書を読むと、患者の自由を制限する事が本来の意図。『身体的苦痛の軽減』は建前」と断じた。
保健省の文書には、「電気ショックは深刻な鬱(うつ)状態の患者への対処法」とも書かれているが、電気ショックは過去には患者への虐待行為とみなされてきた。
電気ショックを認める書類に署名した、精神医療、アルコール、薬物依存症対策部門の部長のキリノ・コルデイロ氏は、「電気ショック療法の実施基準は、厳格に定められている」と電気ショック療法を擁護している。