8日未明にリオ西部バルゼン・グランデ区にあるサッカークラブ「フラメンゴ」のトレーニング・センター通称「ニーニョ・ド・ウルブ(コンドルの巣の意)」の少年用宿泊施設で起こった火災で、プロ予備軍の10人(14~17歳)が死んだ件に関して詳報が続々と出てきている。フラメンコ側の消防法を無視した運営が問題の根底にあったという。9、10日付現地紙が報じている。
亡くなった少年の中には、すでにセレソン並みと見られていたゴールキーバー、15歳以下チームのキャプテン、転入前のクラブの17歳以下チームでキャプテンだった選手もいた。ブラジル最大の応援団を抱える人気クラブでプロになって活躍し、いずれは欧州の世界的クラブへ移籍する夢をもって練習に励んでいた最中だった。
この週末のブラジルのメディアは、この件で持ちっきり。逃げ遅れて亡くなった10人がいかに有望であったか、空調機器から出火した様子、窓の鉄枠が逃亡を妨げた件などが仔細に報じられた。煙を吸ったりやけどをした負傷者は3人。被害にあわずにすんだ少年は13人だった。
1983年に当時の同チームのスター選手だったジーコがイタリアのウディネーゼへ移籍する際に得た金で、フラメンゴはこの土地を購入した。トレーニング・センターを建て始めたが、運営許可に20年かかった。先にプロチームの訓練施設に投資して充実させ、2006年から徐々に未来のプロを養成する施設を整えていた。昨年のW杯出場のレナト・アウグストをはじめ、スター選手を輩出しはじめていたことで注目を集めていた。
だが、少年たちが宿泊施設として使っていた場所は、2016年に1万6千レアルを投資して作られたが、コンテナ型の簡易的なもので、安全面が以前から不安視されていた。
リオ市から宿泊施設として認可されておらず、「消防法の安全基準に満たないもの」として、これまでに31回も罰金を課されていた。2017年10月には市財務局から閉鎖まで命じられていた。だが、クラブ側がそれを無視して使い続けていた。
フラメンゴは「施設は非可燃性のものだった」とし、19年には新たな投資を行なって以前にプロチームが使っていた宿泊所に移転予定だったと弁明している。
フラメンゴのロドルフォ・ランジム会長は8日、「クラブ123年の歴史の中で最大の悲劇となったことを遺憾に思う」とし、「遺族への補償は可能な限り行なう」と語った。