ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル ダム決壊事故続報》危険を昨年の内に指摘していた文書発見=苦しいヴァーレ社の弁明=もっと危ないダム3基の名も

《ブラジル ダム決壊事故続報》危険を昨年の内に指摘していた文書発見=苦しいヴァーレ社の弁明=もっと危ないダム3基の名も

「報告書は差し迫った危機を示すものではなかった」と苦しい弁明をするルシアノ・シアーニ氏(Fernando Frazao/Ag. Brasil)

「報告書は差し迫った危機を示すものではなかった」と苦しい弁明をするルシアノ・シアーニ氏(Fernando Frazao/Ag. Brasil)

 【既報関連】ミナス州で1月25日に発生した大型鉱山ダム決壊事故に関して、「ブルマジーニョのダムが崩壊したら、100人以上の死者が出て、被害総額は15億ドルに達する可能性がある」との文書を、ダム管理会社の鉄鉱大手ヴァーレが昨年10月の時点で作成していたと、ミナス州検察がつきとめ、司法当局が12日に公開した。13日付伯字各紙が報じている。これまでに165人の死者と、155人の行方不明者が出ている。
 「地盤工学的リスク管理調査書」と題された文書には、57基のダムのリスク評価が載っており、その内ブルマジーニョダムを含む10基は“要注意ゾーン”と評価されていた。検察はこの事実から「ヴァーレはダム崩壊の危険性を認識していた」と見ている。
 ダムの評価方法は国際基準に則っていた。“要注意ゾーン”のダムは、「リスク軽減がもはや不可能」か、「改善費用が高すぎ、改善効果と比べてわりに合わない」状態にある事を示している。
 つまり「改善は不可能、採算が取れない」と放置したダムの決壊により、300人以上が死亡または行方不明になったことになる。汚染物質の河川への流入で、今後発生する環境被害の規模も計り知れない。
 ヴァーレ社の財政・投資家対応部長のルシアノ・シアーニ氏は、「調査は差し迫った危機を明示していたわけではない」と語り、ヴァーレ社も「調査書作成のときに使われた評価基準は、ダムの強度評価方法の中でも最も厳しい方法。ブラジルの法律や国際法はもっと緩い」と釈明している。
 “要注意ゾーン”の評価を受けていた他の9基のダムは、バロン・デ・コカイス市のラランジェイラスダム、ブルマジーニョ市のメネゼスⅡ、メネゼスⅣダム、ノーヴァ・リマ市のカピトン・ド・マットダム、ヂッケBダム、タカラスダム、オウロ・プレット市のフォルキーニャⅠ、Ⅱ、Ⅲダムだ。
 1月25日に決壊したダムは、正式にはミナ・コレゴ・ド・フェイジョン鉱区の1番ダムで、ブルマジーニョ市のメネゼスⅡ、メネゼスⅣダムは別のダムだ。
 ミナス州検察は「9基のダムは居住区が近くにありすぎて、崩壊の際に退避が間に合わない可能性がある」としている。
 今回崩壊したダムに関しては、「ダム内部に蓄積された鉱滓が内部侵食、液状化現象を起こす可能性がある」と、まさに今回の事件を予言するような内容も調査書には記されていた。
 なお今調査書で、ブルマジーニョダムの液状化現象発生確率は0・02%とされていた。同じ“要注意ゾーン”との評価のノーヴァ・リマ市のカピトン・ド・マットダム、ヂッケBダム、タカラスダムの液状化発生確率は、その5倍で0・1%となっている。