昨日付で報じた社会自由党(PSL)の昨年10月の選挙での幽霊候補を介した政党基金の不正受取疑惑で13日、ボウソナ大統領および次男のカルロス氏と、PSL幹部で大統領府総務室長のグスターヴォ・ベビアーノ氏が一触即発の状態となった。14日付現地紙が報じている。14日付けエザメ誌サイトには「カルロスとベビアーノの対立で政権は発足以来最悪の危機に」との見出しが躍った。
13日夜、16日間入院したサンパウロ市アルベルト・アインシュタイン病院を退院したボルソナロ大統領はレコルデ局の取材に応じ、「PSLの幽霊候補の件を連邦警察に捜査してもらうよう依頼することに決めた」と語り、さらに「もし、ベビアーノ氏が実際に関与していたのならば、元の職務に戻ってもらうしかない」として、同氏の大統領府総務室長からの更迭の可能性を示唆した。
14日付G1サイトによれば、大統領の発言を受け、モーロ法相は14日、ジャーナリストからの「この件の取調べは始まったのか」と質問され、「大統領は決断を発言した。その決断は実行されている。事実関係が調べられ、責任の所在が確認されれば、決定される」とだけ応えた。
大統領の発言がこのようなものとなったのは、べビアーノ氏が「オ・グローボ」紙に12日の夜に語った証言に不信感を抱いたためだ。幽霊候補疑惑について質問されたべビアーノ氏は「連邦政府に危機などない。今日(12日)も大統領と3回も(携帯アプリで)話したばかりだ」と答えていた。
だが、このべビアーノ氏発言に、ボルソナロ氏の次男でリオ市議員のカルロス氏が「完全なる嘘だ」と噛み付いた。13日、同氏は「既に報道に出ているような、ベビアーノ氏が父と3回も話をした事実はない。昨日は24時間ずっと父と一緒に(病院に)いたが、そんなことは起こらなかった」とツイッターでつづった。
「証拠」として、ボルソナロ氏がべビアーノ氏に語ったとおぼしき「グスターヴォ、難しい話だ、いずれ話そう。まだ誰とも話をしていない。まだ検査の最終段階なんだ」との録音まで付けてツイッターで流した。その直後、ボルソナロ氏自身もレコルデ局の取材の際、「べビアーノ氏と話はしていない」とカルロス氏を擁護した。
だが、べビアーノ氏は13日、大統領の言葉を気にする様子もなく「辞任する気はない。辞めさせたければ更迭すればいい」と発言した。
べビアーノ氏は大統領選挙の選挙参謀だった。当時下院議員選に出馬していたルシアーノ・ビヴァール氏に代わって党首代行の立場にあり、党中央部での政党基金を管理する立場にあった。
今回の件で、同党サンパウロ州選出下議のジョイセ・ハセルマン氏はカルロス氏の行動を「大統領の息子だが、息子でしかない立場。しゃしゃり出て、政府の足を引っ張る場合ではない」と強く批判した。ボルソナロ家3人息子の連邦政府への口出しは、軍部からも強い反感を招いている。