ジアス・トフォリ連邦最高裁長官は“爆弾法案”と呼ばれる、国家財政に負担となる法案や係争案件を、今年上半期中にも審理にかけ、総額500億レアルに及ぶ財政負担軽減を行う意思だと、18日付現地紙が報じた。
トフォリ長官は昨年9月に就任して以来、政府や議会に対し「最高裁は国家財政難を心配している」とのメッセージを常に発信してきた。
同長官はすでに、六つの爆弾法案に関する最高裁審理日程を決定、もしも全ての負担が解消されれば、国庫負担の軽減効果は総額500億レアルにのぼる。
ゲデス氏と周辺スタッフは「法的な保証が、国外からの投資資金を呼び込むためには重要」と訴えてきた。財政再建を目指すパウロ・ゲデス経済相と同じ立場をとるトフォリ長官が、援護射撃を行っている格好だ。
6件中で最も規模が大きいのは、社会統合基金(PIS)増税に関する審理だ。企業側が、PIS増税は違憲として訴えを起こし、最高裁審理に持ち込まれていた。この審理は240億レアル分の国庫負担を左右する。
審理は、17年にマルコ・アウレリオ判事が「証拠再検討」(pedido de vista)の要請を出した事でストップしていた。マルコ・アウレリオ判事の前に、既に過半数の6人の判事が、「PIS増税は違憲ではない」と判断を下していたにもかかわらず、結審していない。同件の報告官は、当時判事だったトフォリ氏だ。
PIS案件の次に財政負担軽減効果が大きいのは、マナウス経済特区産の原材料にかかる工業製品税(IPI)関連審理で、歳出削減効果は136億レだ。(審理予定日は4月24日)
PIS案件の再審理は今月20日に予定されている。トフォリ長官は同じ日に、パウロ・ゲデス経済相と面会する。
トフォリ長官は、ゲデス大臣と今月の初めにも面会、社会保障制度改革に違憲訴訟を起こされないための助言を行った。
また2人は、将来的な税制簡素化についての議論も行った。税制簡素化は今の時点での優先事項ではないが、ゲデス経済相、将来的にこれを行いたい意向だ。
経済省検察総局(PGFM)のアレサンドラ・カルネイロ氏は、複雑すぎるブラジルの税法が、納税者に疑念を抱かせ、税務関連訴訟の数が膨大になっていると語る。
政府側の立場から一連の財政負担軽減関連の訴訟に参加するPGFMは、過去3年で22件行われた最高裁審理の内、17件で負担軽減の判決を勝ち取り、軽減効果は7千億レアルに上っている。ただし、PGFMは今年上半期に集中する最高裁審理で、思わぬ敗北を喫する危惧も抱いていると、ブラジル紙は報じている。