ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ウルグアイ》左派磐石の“南米のスイス ”に異変あり?=大富豪の若手新人サルトーリ氏が大統領選に殴りこみ

《ウルグアイ》左派磐石の“南米のスイス ”に異変あり?=大富豪の若手新人サルトーリ氏が大統領選に殴りこみ

異色の新人ファン・サルトーリ氏を紹介するニュースサイトINFOBAE

異色の新人ファン・サルトーリ氏を紹介するニュースサイトINFOBAE

 2005年に史上初の左派政権が発足して以来、3期連続で左派の拡大戦線が政権を維持しているウルグアイ。ボルソナロ政権が発足したブラジルと同様に、“南米のスイス ”とよばれるこの高福祉国家にも右派の新勢力が台頭している。
 ボルソナロ大統領が“ブラジルのトランプ ”と呼ばれているように、ウルグアイの巨大企業ユニオン・グループを率いるファン・サルトーリ氏(38)にも“ウルグアイのボルソナロ ”や“ウルグアイのマクリ ”のあだ名がついている。
 政治家の経験がないサルトーリ氏は、保守政党、野党国民党の公認大統領候補の座を巡って、ルイス・ラカジェ・ポウ氏の対立候補として名乗り出ている。
 イングランドのサッカープレミアリーグ、サンダーランドの主要株主でもあるサルトーリ氏は、ロシアの巨大肥料会社オーナーの娘であるエカテリーナ・リボロベラ氏を妻としている。
 「私は私心で大統領を目指しているのではない。第一、本業に集中したほうがよほど儲かる」と語るサルトーリ氏。「現行政府は社会保障を手厚くしすぎ、国家財政を圧迫している」と批判、資本家や大企業への支持を訴えると共に、減税を主張して中小農家、労働者階級にも支持を広げようとしている。
 1月のダヴォス会議にも参加したサルトーリ氏は、現地でブラジルのボルソナロ大統領とも会談した。ウルグアイ・メディアは、ブラジルの大統領はサルトーリ氏に「ぜひウルグアイからも左翼を一掃してくれ」と言ったと報じているが、サルトーリ氏は「報道は本当だとも、嘘だとも言わないでおく」含みをみせた。
 サルトーリ氏は、現政権は犯罪への取り組みが甘いとも主張。「南米有数の治安が良い国家」の評判だったウルグアイだが、2018年は17年に比べて殺人発生率が66%増加した。
 ただし、ブラジルでは長引く不況が、「いっそのことアウトサイダーに」との流れを生み出し、ボルソナロ大統領誕生の追い風となったが、ウルグアイは首都モンテビデオの物価高こそ問題視されているものの、18年GDP成長率はプラス3・4%で、今年も3%以上の成長が見込まれている。
 なお、世論調査での現状の支持率は、与党拡大戦線が得票率37%とトップで、サルトーリ氏が立候補を狙っている国民党は28%の2位だ。(2月21日付フォーリャ紙より)