【既報関連】サンパウロ大都市圏のサンベルナルド・ド・カンポ市(サンベルナルド)のトラック・乗用車工場を今年いっぱいで閉鎖すると、国際自動車大手フォードが19日に発表してからわずか2日後の21日、サンパウロ州知事のジョアン・ドリア氏は知事公邸にフォード幹部を呼び会談を行った。
会談の後、ドリア知事は「フォードが工場の買い手を見つけられるように協力する」と表明。直接雇用だけで3千人、周辺産業も含めれば2万人超の雇用喪失の阻止に向け、“企業家知事”の手腕の発揮どころだ。
「同業他社に工場をそのまま買い取ってもらえれば、多くの従業員が職を失わなくてすむ」と語るドリア知事は、自動車メーカーとの面会を週明けにも始める予定だ。
フォードも会談後に知事と力を合わせて、急ぎ工場の引き取り手を探すとは発表した。だが19日に出された、工場閉鎖を発表する文書には、「買い手や、共同経営のパートナーを探すための試みを、何カ月を行った末の決断」と記されていた。
また、地元金属労組の代表ワギネル・サンターナ氏が米国ミシガン州ディアボーンのフォード本社での、国際戦略部幹部との面会の約束にこぎつけるなどの動きも出てはいるが、関係者からは、「年内のサンベルナルド工場閉鎖は、国際投資家たちにも知らされていて、決定事項は変わらないだろう」との声も聞かれる。
自動車産業の専門家によると、サンベルナルド工場で生産されている乗用車フィエスタは、5年前のモデルで市場競争力も弱く、フォードはそれを1台作るたびに3千ドルの赤字になっているという。(2月22日付エスタード紙より)
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