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静岡文芸大=学生が平野植民地を初訪問=同郷の先達、運平に思い寄せ

開拓犠牲者之碑で写真を撮る一行

開拓犠牲者之碑で写真を撮る一行

 静岡県庁、日本外務省、ブラジル静岡県人会連携の「ブラジル青少年派遣事業」の一環として、来伯中の静岡文化芸術大学の学生6人は25、26両日、同県出身の平野運平が創立した平野植民地を訪問した。
 平野植民地では、住民から同地の歴史の映像を見せてもらい観賞した。池上重弘教授は「長年訪問を熱望していたので、非常に感銘を受けた」とコメントを寄せた。
 また学生にも感想を尋ねると、2年生の大角絵未さんは日本から遠い同地に滞在したのを貴重な経験だとし、「資料だけでは分からない彼の偉大さや、墓地を守りたいという平野植民地の皆さんの強い気持ちを感じました」と敬意を表した。

平野植民地の村民らとの記念写真

平野植民地の村民らとの記念写真

 日系ブラジル人三世で3年生の宮城ユカリ・モニカさんは「先祖の暮らしていた場所かもしれない」と考えたという。またブラジル移民の先駆者として活躍した平野運平のエネルギーや、広大な土地を開拓した日本人の強さを感じ、「自分が日系人であることを誇りに思います」と語った。
 4年生の山下由莉恵さんは、雄大な草原とさとうきび畑を見て、「昔こんな場所に日本人が来たのかと衝撃を受けた」という。自分と同い年でブラジルに移住した当時の平野運平の志に思いを馳せ、「日本を離れた方々の歴史を知る事は、もう一つの日本の歴史を知るような思いでした」と結んだ。

静岡県人会の新年会に参加した一行

静岡県人会の新年会に参加した一行

 この事業の一環として一行は24日の午前に静岡県人会の総会及び新年会に参加。一世や元県費留学生等、この日のために集まった会員ら約80人と交流した。また、同日午後には、県人会メンバー宅でホームステイを行った。
 原永門県人会長は今回、平野植民地との調整役を担い、学生のホームステイ先の手配にも尽力した。本紙の取材に、「移住開始から111年経ち県人会の継続が年々困難になっている。継続には県庁の協力が必要だ」と強調した。原会長は昨年再開した県費留学に言及し、「指導者を育て文化や習慣を繋げていくためにも県費留学を継続し、三世以下にも静岡県と関係を持ち続けてほしい」と切望した。