サンパウロ総合大学暴力研究センターやブラジル治安フォーラム(FBSP)などのデータによると、18年は暴力に起因する死者が、統計開始以来最大の前年比13%減を記録したと2月27日付G1サイトが報じた。
統計によると、殺人、強盗殺人、傷害致死事件は、07年の4万4625件以降、2・8%増、3・0%減、2・8%減と小刻みに動いたが、11年は11・1%増の4万8084件となった。
12年からは犠牲者数が集計され、5万3054人(10・3%増)以後、15年の2・7%減以外は、2・1~5・4%の増加が続いた。
だが、18年の犠牲者は5万1589人(10万人当たり24・7人)で、17年の5万9128人(10万人当たり28・5人)と比べ、7539人も減った。
犠牲者が増えたのは3州で、ロライマは54%増の345人の死者が出て、連邦政府の直接統治を要請。トカンチンスは44%増の421人、アマパーは10%増の349人が犠牲となった。
だが、それ以外の州は死者が減少。ペルナンブコが23%減の4170人になったのをはじめ、アラゴアス、サンタカタリーナ、アクレ、ミナス、エスピリトサントの6州が20%以上、北大河など11州が10%以上の減少を記録した。
17年は犯罪組織同士の抗争絡みで刑務所内外での殺人事件が多発したが、18年は同種の事件が減少。直接統治が行われたリオ州は、犠牲者が8・2%減っている。
ただ、国家治安部隊導入などの治安政策や犯罪者などに関する情報システム構築などが奏功する一方、女性殺人は増加。
2月28日付アジェンシア・ブラジルによると、サンパウロ州では昨年、148人が伴侶や恋人などに殺され、女性の犠牲者548人の27%を占めた。女性の犠牲者は5・9%増だが、女性殺人は12・9%も増えている。
16年3月~17年の場合、女性殺人の66%は自宅で、8%は職場や通勤時に発生。夫や恋人から暴行を受けていると届け出る女性は半数以下で、届け出ても保護対策が採られていなかったために殺された例も少なくない。女性殺人の6割は刃物が使われ、数十回刺された例もある。
サンパウロ州検察局の女性検事は、犯行の動機は愛情より憎悪で、その背景にあるのは、女性は自分の所有物と考え、思い通りにしようとする、男性至上主義と指摘している。