サンパウロ大都市圏は10日夜から11日未明にかけて激しい雨に見舞われ、11日昼過ぎまでの死者の数は11人となった。
11日現地紙サイトなどによると、雨の影響が特にひどかったのは、イピランガやヴィラ・プルデンテ、ABC地区などで、洪水や倒木、家屋倒壊などによる消防への通報は、10日夜だけで約300件、11日も朝6時までに約600件の出動要請を受けた。
死者が出たのもABC地区が中心で、リベイロン・ピレス市では10日午後11時40分頃に起きた民家倒壊で一家6人が巻き込まれた。消防車5台が救出作業を行った結果、52歳の女性と9歳の子供は助かったが、36歳の女性、21歳と33歳、35歳の男性が亡くなった。
近隣の住宅6軒は、土砂崩れや倒壊の恐れがあり、立ち入り禁止となった。これらの家屋を含む近隣住民10世帯には、11日午前1時頃、退避命令が出た。
また、サントアンドレ市ではアンシエッタ道で濁流に襲われたバイクの運転手が水死。サンカエタノ・ド・スル市ではエスタード大通りで2人、タボアン区で1人の計3人、サンベルナルド・ド・カンポ市でも1人が溺死した。2月に子供4人が死亡したマウア市ジャルジン・ザイーラ区では、土砂崩れで民家3軒が倒壊したが、死傷者は出ていない。
また、サンパウロ市のイピランガ区でも1人が溺死。サンパウロ市東部サンラファエル区では、土砂崩れで家が押し潰されて、母親と子供2人が下敷きになった。3人共救出されたが、9歳の男児は重傷を負っている。
サンパウロ大都市圏西部のエンブ・ダス・アルテス市では、土砂崩れで家族3人が生き埋めになり、両親は助かったが、1歳2カ月の男児が死亡した。
この豪雨のため、サンパウロ市では、タマンドゥアテイやモオッカといった川や水路が氾濫し、マルジナル・チエテも冠水。各地で洪水や倒木も起き、通行不能となった地区や道路が多数見られた。ABC地区とサンパウロ市を繋ぐ道路やタモイオス道も各地で通行止めとなった。
また、サンパウロ市ブラス区とABC地区を繋ぐ都電(CPTM)10号線が、11日朝になっても運行再開不能など、公共交通機関にも影響が出たため、サンパウロ市交通工学公社は11日朝、ナンバープレートによる乗り入れ規制や市中央部のトラックや貸切バスの乗り入れ規制を停止した。ゾナ・アズルへの駐車も自由化された。
同日の雨は、同州北西部のビリグイ市やイセン市、海岸部のカラグアタツーバ、中央部のサンカルロスやアララスなどにも倒木、その他の被害を及ぼした。サンパウロ州では11日以降も、夕立や強風といった不安定な天候が続く見込みだ。