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《ブラジル》Azul航空がアヴィアンカ買収で基本合意=主要空港の発着枠も取得=競争増し、価格低下なるか?

アヴィアンカ・ブラジルの空港カウンター(arquivo da Ag.Brasil)

アヴィアンカ・ブラジルの空港カウンター(arquivo da Ag.Brasil)

 昨年12月10日に民事再生手続きを申請してからほぼ3カ月後の11日、コロンビア系航空会社アヴィアンカ・ブラジル(以下「アヴィアンカ」)がAzul航空に事実上身売りする事で合意したと、12日付現地各紙が報じた。

 合意内容は、30機の機体と、70の「スロット」(空港の発着枠の権利)、航空機運行許可証を1億500万ドル(約4億レアル)で譲渡するというものだ。この発表を市場は好感、当日のAzul株は前日比6・45%上昇した。

 アヴィアンカが所有していた他の資産は独立生産単位(UPI)に移され、Azulが売却することはできない。だが、その代わり、Azulには10億レアルを超えるアヴィアンカの負債の引き継ぎ義務もない。UPIによる資産整理が完了するまで、アヴィアンカは存続する。アヴィアンカはその間、残された機体で営業し、燃料費、人件費、機体リース料を支払い続けることになる。

 「買収は2社間だけで決まるのではなく、UPIの資産整理と各監査機関の承認、債権者たちとの合意、全てのプロセスの進展にかかっている」とAzulは発表。手続き終了までには3カ月程度かかるだろうと、同社は見ている。

 Azulは機体のリース料を滞納しているため、債権者である飛行機のオーナー会社からの承認も必要だ。

 「サンパウロ市のコンゴーニャス空港とグアルーリョス空港のスロットを買えたことが取引の肝だった」とAzul幹部は語っている。「スロット」は、空港の特定の時間単位で滑走路を使用する権利のことで、航空会社のシェア争いに重要な意味を持つ。スロットがないと運行できないため、需要の多い空港、時間帯のスロットは関係各社で奪い合いとなる。

 グアルーリョス、コンゴーニャス空港でのスロット購入を、リオ~サンパウロ間の定期便などで先行する業界トップ2社(Latam、Gol航空)を追う足がかりとしたいと、Azulでは考えている。

 コンゴーニャス空港の場合、Azulは既に持っていた5%のスロットにアヴィアンカの8%を加えるが、未だに80%以上はLatam、Golが持っている。

 航空業界に詳しい弁護士のギリェルメ・アマラウ氏は、「一般利用者にとっては、決して悪い話ではない。買収が成立すれば、2社独占だった図式が3社競合に変化し、運賃も下がる可能性がある」と語っている。