ブラジル経済の回復ペースは未だ緩やかで、 “Cクラス”とよばれる中流階級の人口比率は2017年から18年にかけて、50%から51%に増大したが、これらの層は以前より慎重な消費傾向にあると、17日付現地紙が報じた。
Cクラスは、世帯収入が月収1064~4591レアル(およそ3万2千~13万8千円相当)の人をさす。2008年には人口の48%だったが、好況で一時は53%まで拡大していた。
その後は、2014年半ばから16年末まで続いた大型不況(景気後退)の影響で50%まで落ち込んだが、17年以降の緩やかな景気回復で51%まで持ち直した。僅か1%ポイントの増加だが、増加の実数は200万人以上で、現在の総数は1億600万人だ。
Cクラス層の動向を専門に調査する民間会社、ロコモチーヴァ研究所によると、Cクラス層の購買力はまだ完全には回復していないが、将来を楽観視しており、コストパフォーンマンスが高ければ、高額商品購入もやぶさかではないという。
しかしながら、不況以前の好況期(2000年一桁年代後半から2012年頃)に流行った、消費を見せびらかすような買い物は陰を潜め、実用性の高さなどを重視する消費にとって変わられている。
今年、Cクラス層が消費に振り向けると見られるお金の総額は1兆5700億レアルだが、ロコモチーヴァ研究所のレナト・メイレレス所長は、「“見栄より実利”の傾向は後戻りしない。財布の紐を緩めさせるために、今何が求められているのか、企業はよく分析する必要がある」と語った。
ただ、失業率や所得は景気後退以前のレベルには程遠く、消費回復との見通しも、 “期待感”の粋を出ない。
だが、昨年の国民総生産(GDP)成長率は1・1%だったのに対して、今年は、少なくとも2%前後は成長すると見られている。これを受け、「今年のCクラスの所得は前年比3・5%増、小売販売も3%増」と経済コンサル会社マルコセクター社は予測している。
ただし、応用経済研究所(Ipea)所属の経済学者、ジョゼ・ソウザ・ジュニオル氏は、「期待感は全て、『社会保障制度などの改革が成立すれば』の条件つき。失敗すれば、14年から16年に経験した以上に深刻な不況になりかねない」としている。
また、10年前に比べて、Cクラス層に占める「高卒以上」の割合は38%から48%へと増加したが、「非正規雇用、または自営」の人の割合も35%から38%へと増加している。
これは、「不況で正規雇用職を失った分の回復の遅れ」、「収入が少ないなら路上で食べ物などを売ってでも稼ごうとする企業家精神の広まり」などが要因として指摘されている。