俳誌『朝蔭』の第469号が編集部に届いていた。《故国恋し蛙の居らぬ町に住み》(富岡絹子)。水田の近くで生まれ育った人は、あのガマ蛙の合唱が聞こえないと、移民したあとも一生もの足りない。きっと富岡さんも。《春謳歌天災少なき国に住み》(中山哲弥)を読んで、考え込んだ。たしかにブラジルは地震や台風などの天災は少ないが、それを補うように「人災」が多い。ブルマジーニョ鉱山ダム決壊しかり、スザノ学校襲撃しかり。神様は良く作ったもの…。《耕して親子三代花作る》(吉田繁)の作者はアチバイア在住。なるほど花器生産で全伯的にしられたところ。一つの事業が3代に渡って続いているのは、素晴らしいこと。親に対する敬意がないと継ごうとは思わないからだ。大きく花開いているのは花だけでなく、家族関係も。