ブラジルとアメリカの両国政府は18日、米国企業がブラジル北部マラニョン州アルカンタラにあるロケット発射センターを商用利用する事を認める技術保障協定(AST)に調印したと、18、19日付ブラジル各紙・サイトが報じた。
ブラジル側からはエルネスト・アラウージョ外相とマルコス・ポンテス科学技術相が署名、米国側からはクリストファー・フォード国際安全保障・不拡散担当国務次官補が署名した。
同発射センターは、赤道に近いため、燃料を最大30%節約できるという利点がある。
発射センターを米国に貸し出すことで、ブラジルは1千万ドルの利益を得られるとブラジル国防省は予測しているが、同協定が正式に効力を発揮するにはブラジル連邦議会の承認が必要だ。
同協定は2000年に、ブラジルのカルドーゾ政権とアメリカのクリントン政権の間で一旦合意に至ったが、その後、ブラジル議会が承認しなかった経緯がある。ちなみに、当時は下議だったボルソナロ大統領も協定に反対した。
合意文は、ブラジル議会で反対される可能性を低くするため、米国側の発射センターでの権利を制限する方向に条文を変更した。しかし、この合意が即座に公布されるかは不透明だ。ブラジルの全国工業連合(CNI)の調べによると、経済問題に関わるブラジルと外国との合意の場合、公布までに平均で4年かかっている。
また、ASTの他にも、米国航空宇宙局(NASA)とブラジル宇宙開発庁(AEB)間の、気象観測、調査に関する協力協定も調印された。
また今回のボルソナロ大統領訪米により、米国はブラジルに、北大西洋条約機構(NATO)加盟国ではないが、米国にとっては軍事的に重要なパートナーであるMNNA(Major non―NATO ally)諸国の一員であるとの認証を与えた。