21日、リオ州のラヴァ・ジャット作戦により、テメル前大統領(民主運動・MDB)が収賄容疑などで逮捕された。リオのアングラ3発電所の事業契約に伴い、100万レアルを収賄した容疑によるものだ。21日付現地サイトが報じている。
テメル氏は21日朝、サンパウロ市西部ジャルジン・ウニヴェルシダーデの自宅から車で出かけたところで、連邦警察から逮捕通達を受けた。今回の逮捕令状を出したのはリオ連邦地裁第7刑事法廷のマルセロ・ブレッタス判事で、テメル政権で大統領府総務室長官などをつとめたモレイラ・フランコ氏らも逮捕されている。
テメル氏らへの容疑は、2018年6月にエンジェヴィクス社のソーシオ(共同経営者)ジョゼ・アントゥネス・ソブリーニョ氏が行った報奨付供述に基づいている。
それによると、100万レアルは、エンジェヴィクス社やアンドラーデ・グチエレス社、アルジェプラン社などからなるコンソーシアム(共同事業体)が、アングラ3原子力発電所関連の事業でエレトロヌクレア社と結んだ1億6200万レアルの契約から派生した賄賂だという。
アングラ関連の疑惑は最初、ラヴァ・ジャット作戦絡みとして、パラナ州クリチバの連邦地裁で扱われていたが、ペトロブラス社とは直接関係がないとして、リオの連邦地裁に回された。
100万レアルの支払を命じたのはテメル氏の友人でアルジェプラン社ソーシオの元軍人、ジョアン・バチスタ・リマ・フィーリョ氏と、当時は民間航空監督庁長官だったモレイラ氏で、テメル前大統領も会話の内容を知っていたという。
この100万レアルは、2014年の大統領選にジウマ氏(労働者党・PT)の副候補として出馬し、再選を狙った際に選挙献金として支払われたという。
今回の捜査で逮捕令状が出たのは、テメル氏、モレイラ氏、リマ氏と同夫人のマリア・リタ・フラテジ氏、エレトロヌクレア社元社長のオトン・ルイス・ピニェイロ・ダ・シウヴァ氏、アルジェプランのソーシオのカルロス・アルベルト・コスタ氏とその息子の同社理事など、計12人となっている。
テメル氏は1940年生まれ。80年代から90年代にかけてサンパウロ州検察局長をつとめ、下院議員となった。1997~2000年、2009~10年には下院議長、2011年からはジウマ政権の副大統領をつとめていたが、ジウマ氏が2期目の16年8月31日に罷免されたのを受け、大統領に昇格していた。
だが、17年にJBS社とのスキャンダルに伴う疑惑が噴出して起訴されたりして、任期中に最高裁で審理を行うか否かを決めるための下院審議が2度行われるなど、汚職疑惑が絶えず浮上。今年に入ってから捜査開始が認められた件も含めると、計10件の疑惑で捜査対象となっている。
なお、現在は政治的役職についていないため、テメル氏の裁判は連邦地裁の管轄となる。