【既報関連】21日に起きたテメル前大統領(民主運動・MDB)らの逮捕に関する詳細が明らかになっている。22日付現地紙が報じている。
昨日付本面でも報じた通り、テメル氏はリオ州のアングラ3原子力発電所の建設事業にまつわる100万レアルの収賄容疑などで逮捕されたが、連邦検察庁がその後の記者会見で、その手口などを明らかにしている。
賄賂を払ったのは、アングラ3建設でエレトロヌクレア社と事業契約を結んだ企業体(コンソーシアム)の一員で、建設実務を担当したエンジェヴィクス社だ。
同社をコンソーシアムに呼び入れたのは、アルジェプラン社とAFコンサルト社で、建設事業を請け負う権利を得る見返りに、テメル氏への賄賂の支払いを求めた。アルジェプランはテメル氏の長年の友人であるジョアン・バチスタ・リマ容疑者が所有する会社だ。
賄賂の支払いは、発覚を防ぐため、アルミ・プブリシダーデという企業から、リマ容疑者が経営するPDAプロジェットという企業あてに行われたという。
捜査の目をくらますための賄賂の支払い法を考案していたのは、今回同じく逮捕され、テメル政権でも大統領府総務室長官や鉱山動力相などを歴任したモレイラ・フランコ氏で、エンジェヴィクス社に賄賂を要求した時はジウマ政権で民間航空局長官をつとめていた。
また、アルジェプラン社のメールからは、明らかに資金洗浄を行った例も見受けられた。そのひとつはテメル前大統領の娘のマリステラ氏の自宅の改築で、請負業者は支払いの大半を現金で受け取っており、その総額は150万レアルを超えていたと見られている。
また、2018年10月には、誰かがアルジェプランの口座に現金で2千万レアルを振り込もうとしたことも確認されている。これは、テメル氏らのグループの汚職計画がその時点でもまだ有効だった証拠とされ、テメル氏逮捕に新たな犯罪防止との理由を与えた。
連邦検察庁によると、アルジェプランは領収書などの書類や防犯カメラの映像などを次々に処分し、証拠隠滅を図っていた疑いもあるという。
今回の逮捕者10人の主な罪状は、贈収賄や公金横領、資金洗浄、犯罪組織形成、証拠隠滅だ。
他方、連邦検察庁は、テメル氏は今回の件に限らず、もうすでに40年間も、MDB内における汚職計画のリーダーとして君臨しており、同氏らのグループが横領した公金額は18億レアルに及ぶと見ているが、具体的な内容は明らかにされていない。
テメル氏の弁護士のエドゥアルド・カルネイロ氏は、今回の逮捕は、検察や警察が手柄を見せ付けるための「野蛮な行為だ」と強く批判した。
前大統領という立場に配慮したリオ連邦地裁のマルセロ・ブレッタス判事の裁定で、テメル氏は連邦警察の特別室に収容された。これは、パラナ州の連警特別室に収容されているルーラ氏への扱いに準ずるものだ。