「世界水の日」の22日、SOSマッタ・アトランチカ財団が、大西洋岸森林(マッタ・アトランチカ)内の220河川の水質を調べた結果、1月25日にミナス州ブルマジーニョで起きたダム決壊で流出した鉱滓が、サンフランシスコ川に流入している事が判明した事などを報告した。
サンフランシスコ川での観測点は12カ所で、フェリクスランジア市とポンペウ市の間にあるレチロ・バイショ発電所の貯水ダムから、同川上流のトレス・マリアス発電所の貯水ダムまでの9カ所が、使用に適さない「悪い」だった。残る3カ所は「普通」だった。
9カ所の観測点では、鉄やマンガン、クロム、銅といった重金属類が基準値を超えていた上、トレス・マリアス貯水ダムは中ほどまで水の色が変わっている。表明の色は緑だが、水深2メートルの所で汚泥が見つかった所もあったが、これは、ブルマジーニョのダム決壊で流出した鉱滓流入が原因と見られている。
ブルマジーニョに近いパラオペバ川に流入した汚泥の大半はレチロ・バイショの貯水ダムに沈殿した。だが、フィルターを通過する位の微細な汚染物質がこの貯水ダムを経てサンフランシスコ川に流れ込み、重金属類汚染や濁りをもたらしたというのだ。調査員達は、汚泥はトレス・マリアス貯水ダムで沈殿するだろうが、重金属類はさらに下流まで流れて行くはずだと案じている。
国家水資源庁(ANA)は、ブルマジーニョの鉱滓がトレス・マリアス貯水ダムまで届いたとの報告を否定し、パラオベバ川での調査では、汚泥はレチロ・バイショ貯水ダムにも至っていないとの見解を示した。
だが、SOSマッタ・アトランチカの調査員らは、雨などで水量が増した川の濁り水は黄色っぽいが、鉱滓が混じった水は鉄さびの色だから一目瞭然として、ANAの見解を否定している。
なお、大西洋岸森林全体では、飲用や沐浴にも適した「良い」の評価は6・5%のみ。「普通」は74・5%、「悪い」は17・6%、「最悪」は1・4%で、「最良」はゼロだったという。
同財団によると、大西洋岸森林内では、命を育み、生き物が生息する事が出来る川が徐々に減っているという。水質や周囲の環境が劣悪で飲用や沐浴に適さない「悪い」「最悪」の地点は19%で、53河川に上った。
大西洋岸森林内の自治体は17州103市で、今年は278カ所で水質などを調査した。
昨年も調査した236カ所に限定すると、「普通」は78%が75・4%、「悪い」は17・4%が16・9%に減ったが、この二つの数字には有意差はない。「最悪」は、ゼロが3カ所、「良い」も11カ所が15カ所に増えた。
「水質汚濁は、環境衛生面の管理が出来ておらず、現行モデルが機能していないか不十分である事を示す。これは人権や持続可能な開発という観点を軽視している証拠」と言うのは、同財団所属の生物学者で環境教育家のセーザル・ペゴラロ氏だ。水質改善には、各地域の実情に沿い、各流域の委員会が参加できるような全国的な水資源対策が不可欠だ。
2年連続で「良い」と評価された所は、原生林が残り、周辺が保護区に指定されている。水源地や河岸、地下水が流れる地域の土地の利用方法に問題があり、森林伐採が進んでいる地域の川は、「悪い」「最悪」との評価を受けているという。(22日付アジェンシア・ブラジル、G1サイトより)