セルジオ・モロ法相は26日、ラジオでのインタビューにおいて、「選挙資金の二重帳簿(カイシャ・ドイス)関連事件の裁判は選挙裁扱いとする」との最高裁の決定に苦言を呈したと、同日付現地ニュースサイトが報じた。
カイシャ・ドイス関連事件を全て選挙裁扱いにすると、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)で摘発、立件され、既にクリチーバ連邦地裁などで進められている裁判の妨げにもなりうる。
検察は選挙犯罪とは見ていないのに被告側が立件された疑惑は選挙絡みと主張し、これまでの裁判を無効にし、選挙裁に送るよう訴える、複雑な汚職犯罪が「選挙違反か否か」の視点だけで裁かれてしまうといった事態は避けたいところだ。
議会に提出された犯罪防止法では、カイシャ・ドイス関連事件も、資金洗浄や犯罪組織形成などが含まれていれば一般裁判所で裁くよう定めている。モロ法相は「最高裁への敬意は変わらない。選挙裁の存在も当然尊重する。だが、選挙裁にはカイシャ・ドイス関連で回って来る汚職裁判全てを行うキャパシティはない。解決策は犯罪防止法の早期制定」と続けた。
25日には、ラケル・ドッジ連邦検察庁長官が「連邦裁判事も選挙違反裁判に参加できるようにすべき」と語った。システム上、汚職捜査は連邦検察が担当するが、選挙裁判所は州判事の管轄となる。同長官の提言は、「連邦検察が起訴した事件を連邦判事が扱えるように」との狙いだ。
同法相は、ロドリゴ・マイア下院議長との軋轢に関しても質問された。法相は「犯罪防止法は社会保障制度問題と並行して審議できる」と考え、検討委員会を設置すれば審議が遅れると苦言を呈したが、マイア議長は「どの法案の審議を優先するかは大統領とも協議済み。法相は大統領の下の立場。文句があるなら大統領に」とし、「新しい犯罪防止法は、モラエス最高裁判事がかつて出した法案の焼き直し」とまで言い放った。
法相は、「議長との一件は大げさに報道されすぎている。もう解決したこと」と語った。
だが、犯罪防止法検討委員会と、アレッシャンドレ・モラエス最高裁判事が統括する司法関係者の委員会の双方で報告官を務めるジョゼ・アウグスト下議(共和党・PR)が26日に、早期承認の妨げになるのであれば、「二審有罪判決後に禁固刑執行開始」の項目を外すことも選択肢の一つとの立場を示した。
だが、モロ法相は27日の上院憲政委員会で、「早期承認のためだけに汚職防止関連項目を犯罪防止法案から削るなら、同法案を取り下げた方がまし」と語った(モロ法相は、マイア下院議長との軋轢後、社会保障制度問題と重ならないように配慮し、犯罪防止法案を上院に回した)。
モロ法相の苦悩はこれだけに止まらない。市民団体などの立法手続きへの参加を促進するための下院法務委員会が、27日に満場一致でモロ法相の召喚を決めたのだ。野党の自由社会党(PSOL)からの召喚要請は、「犯罪防止法案や1月に出された銃規制緩和の大統領令は、関係機関や国民の声を十分に聞いていない」という理由で出された。