国家高等教育試験(Enem)の問題用紙の印刷を担当していたRRドネレイ社が、1日に倒産を申請し、Enemの実施に黄信号が点ったと1、2日付現地紙、サイトが報じた。
Enemは一部の大学の入試そのものや、入試の際に点数を加算するための資料としても使われており、その重要度が増していた。だが、教育省内のごたごたに続き、今年の問題を印刷し始める時期を目前にした印刷会社の破産申請が、試験実施に黄信号を点した。
Enemの問題用紙を印刷する会社は、問題が事前に漏れるのを防ぐため、警備や運送について万全の体制を敷いている事が要求される。
RRドネレイ社はブラジル国内でも25年の実績を持ち、サンパウロ州オザスコ市に工場を持つ多国籍企業だ。事前の問題漏洩が起きた2009年に、プルラル社に代わる印刷会社として緊急契約の対象となった同社は、翌年の入札で落札して15年までの契約を獲得。16年の入札でも落札し、20年まで更新出来る契約を得た。
最後の更新は18年7月に行われ、11月3、10の両日に行われる試験問題の印刷は同社が行う事が確定していた。
ところが、例年ならEnemの申込期間(5月6~17日)と並行して印刷を始める会社が、受験料免除を希望する受験者の申込期間(4月1~10日)の初日に破産を申請したのだから、関係者には寝耳に水だ。同社はブラジルでの事業から撤退する意向だ。
Enem実施の責任を負う国立教育研究院(Inep)は2日、試験の日時はそのままとし、安全な代替策を検討するとのみ発表した。Enemの試験問題を印刷する会社の入札には、通常、6カ月を要するため、入札を経ずに緊急契約を結ぶ以外に方法はない。
RRドネレイ社の破産申請は、出版・印刷業界の業績悪化を受けたもので、最近は、主要顧客の一つを失い、業績が急激に悪化していた。
同社従業員らは急な知らせに驚き、2日朝、アニャンゲーラ道の18キロ地点を封鎖するという形の抗議行動も起こしたが、封鎖地点は午前8時半に開放された。同社は既に、退職手続きを速やかに行うために従業員の代表者との会合を開催する意向も発表している。