最高裁のルイス・ロベルト・バローゾ判事は1日、「“2審判決後に刑執行”との判断を崩したら、最高裁は機能(正当性)を失ってしまう」との発言を行った。最高裁では10日に、この件について、再審理を行う。2日付現地紙が報じている。
この発言は、1日に開催された、エスタード紙主催のラヴァ・ジャット作戦に関するフォーラムで行われた。
最高裁では10日に、「2審判決後に刑執行か否か」という件に関する再審理を行う予定になっているが、バローゾ判事は同件に関して、「最高裁は民主主義の柱的な存在だ。判例を簡単に壊すことはできない」とし、「もし、判断を変えてしまうようなことがあれば、最高裁は社会の感情に対応することができず、最高司法機関としての正当性を失った上、司法界に危機的状況を生み出すことにもなる」と警鐘を鳴らした。
最高裁は2016年10月の判事投票で、「2審判決で有罪ならば刑執行」との結果を出していた。だが、その時に既に接戦だった上、その後に最高裁判事の一部が入れ替わったり、ジウマール・メンデス判事が判断を翻したりしたため、現状では判断が逆転している可能性がある。
また、昨年4月に行われた、2審有罪後のルーラ元大統領への人身保護令適用に関する審理の際も、本来は「2審有罪直後に刑執行」には反対の立場をとっていたローザ・ウェベル判事が、「16年の判断をすぐに変えるべきではない」と判断したことによって、6対5で人身保護令は適用しないことが決まっている。
このように、司法関係者の間では、この2審後の刑執行の問題はなおも尾を引いている。ブラジル弁護士協会(IAB)は現在、セルジオ・モロ法相の提案した汚職防止法案19案のうち、17に反対しているが、その中のひとつが2審後の刑執行問題だった。
この件の審理は、9日に高等裁判所で行われる予定の、サンパウロ州グアルジャーの高級三層住宅にまつわるルーラ元大統領の裁判が終わってからになる。同氏弁護団は、第2審後の刑執行の是非を問うと共に、第2審までの判決を無効化し、同件を選挙裁判所に回すことも求めている。
ブラジル弁護士会(OAB)は1日、OABの審議会メンバーが2月に入れ替わったため、同件について議論を尽くす時間がないとし、最高裁が10日に行う予定の再審理の延期を求めた。ディアス・トフォリ最高裁長官は既にこれを受理しており、審理延期の可能性が強まっているという。