ベネズエラの制憲議会が2日、同国最高裁からの要請を受け入れて、フアン・グアイド国民議会議長の議員特権剥奪を決めた。
同国には、通常の選挙で選ばれ、反体制派主力の国民議会(国会)と、ニコラス・マドゥーロ大統領に組する体制派の制憲議会がある。
グアイド議長は反体制派の代表で、1月23日に暫定大統領宣言も行った。グアイド氏は自己宣言の際、マドゥーロ氏の再選は、反体制派の候補者の出馬を阻害した上、前倒しで行ったため、投票率も極度に低かった不正な選挙での結果であり無効(米州諸国からなるリマグループも宣言直前に無効との判断を下していた)と主張。同国に深刻な経済的、政治的、人道的な危機をもたらしたマドゥーロ氏は、大統領としての職務を果たしておらず、実質的にも大統領は不在だから、同国憲法に従えば暫定大統領を選ぶ事が出来るとの理由付けもなされた。
グアイド氏に対しては、やはり体制派の同国最高裁が、最高裁の許可を得ずに国外に出る事を禁じ、財産の凍結などを命じていた。だが、グアイド氏は、2月下旬から3月上旬にコロンビア、ブラジルなどを歴訪。その後も、マドゥーロ政権への批判を繰り返し、積極的に抗議行動を呼びかけてきた。
同氏に対しては、南米諸国歴訪中に、マドゥーロ氏が処罰は免れないと発言しており、同氏を暫定大統領と認める50余りの国々も、動向を注視していた。
このような中、同国最高裁が1日、グアイド氏が最高裁の命令に従わなかった事を理由に、議員特権剥奪を決め、制憲議会にもそれを承認する事を求めた。また、暫定大統領宣言を行い、不正な形で大統領としての職務を行い、国民を惑わした事に対する審理開始の認可も求めた。
グアイド氏は即座に最高裁の決議は無効と宣言したが、制憲議会は2日に満場一致で議員特権剥奪を承認。不正な形で大統領としての職務を行ったとの嫌疑についても、最高裁での審理を認める決議を行った。
グアイド氏の身辺では既に、一番の側近がテロ行為に加担したとの嫌疑で未明に身柄を拘束されるなどの事件が起きている。また、グアイド氏に対しては、同国検察庁が広域停電発生の責任を問う姿勢なども見せているため、議員特権が剥奪された現在は、いついかなる形で逮捕劇が発生してもおかしくない状況といえる。(2、3日付エスタード紙、G1サイトなどより)