1月からブラジル国内各州で始まった、サッカー州選手権の決勝カードが続々と決定している。ブラジルには26の州と連邦直轄区があり、それぞれ独自に大会を行っている。
最もレベルの高いサンパウロ州選手権は、14年ぶり22回目の優勝を目指すサンパウロFCと、3年連続30回目の優勝を目指すコリンチャンスの争いとなった。
サンパウロ州と並んで注目度の高いリオ州選手権は、2年ぶり35回目の優勝を狙うフラメンゴと、3年ぶり25回目の優勝を狙うヴァスコ・ダ・ガマの争いだ。
また、サンパウロ、リオのように、ビッグ4と呼ばれるほど強豪クラブが多くひしめいているわけではないが、2大チームがしのぎを削るミナス州とリオ・グランデ・ド・スル州でも、決勝戦の組み合わせはビッグ2同士になった。ミナス州はクルゼイロとアトレチコ・ミネイロ、リオ・グランデ・ド・スル州はインテルナシオナルとグレミオの決勝だ。
ブラジル以外のほとんどの国では、州レベルの大会は全国レベルの大会の下位におかれている。州レベルの大会で上位に入ることで、全国4部などで戦う権利を得、3部、2部、1部とあがっていかなければ、少なくともリーグ戦ではトップチームと対戦することはない。
ブラジルでは州レベルと全国レベルの大会は独立して存在しており、州選手権では、全国トップのチームと、全国規模の大会に出られないチームが同じステージで争っている。
州選手権では、集客が見込めない、レベルの低いチームとの対戦も出てしまう上、州選手権に3カ月も時間をとるため、その後の日程が超過密になるとして、州選手権廃止や縮小化を唱える声も毎年必ずあがる。
ただし、州選手権だからこそ頻発する、同じ街に本拠を置くチーム同士の対戦(ダービーマッチ、クラシコ)にファンは熱狂する。しかも、その舞台が決勝戦なら、熱狂の度合いもさらに高まる。
州レベルでは抜けた実力を存分に発揮し、順当に決勝に駒を進めたチームや、伏兵相手に苦戦し、やっとの思いで決勝にたどり着いたチームなど、各チームの状況は様々だが、ブラジル国内サッカーは年の前半、「全国選手権前の前哨戦」にしては激しすぎる熱狂シーンに突入する。 (規)