就任から100日の時点で、エルネスト・アラウージョ外相の、イデオロギーに強く左右された言動が不安視されている。10日付現地紙が報じている。
アラウージョ外相は、ボルソナロ大統領のグル(師匠)と呼ばれる極右思想家オラーヴォ・デ・アラウージョ氏の弟子として、外務省では大きな役職につかないまま、外相に抜擢された。だが、「ナチスは左翼が起源」などの発言などは国際的に問題視され、先日のダッタフォーリャの世論調査でも、国民からの支持率は、8日に教育相を更迭されたオラーヴォ氏のもう一人の弟子、リカルド・ヴェレス・ロドリゲス氏と並ぶ13%にとどまっていた。
アラウージョ氏はこの他にも、ブラジル外交史の「他国の政治には口出ししない」の慣行を破り、ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領への批判や中東問題でのイスラエル支持など、外務省全体の意向を無視した発言を繰り返している。
さらに、米国のトランプ大統領との外交に関しても、確約のない経済協力開発機構(OECD)入りと引き換えに、世界貿易機関(WTO)での協定を反故にしようとする、小麦貿易でブラジルの農家が大打撃を受けかねない条件を飲みそうになるなど、その外交手腕も不安視されている。
また、アラウージョ氏は9日、外務省傘下の国家輸出振興庁(APEX)のマリオ・ヴィラウヴァ長官を解任した。同長官とアラウージョ氏の反目はかねてから報じられていた。理由は、ヴィラウヴァ氏は同庁内のオラーヴォ派の職員と強く対立しており、同派の職員らの決定をヴィラウヴァ氏が覆すことも頻繁に起きていたからだ。
なお、ヴィラウヴァ氏の前任者のアレックス・カレイロ氏も、今年最初の1週間で長官職を解任されている。両者共、職員の一人のレチシア・カテラーニ氏がアラウージョ氏に解任するよう求めたことが決め手となったといわれている。
レチシア氏は昨年の大統領選で、社会自由党(PSL)サンパウロ州支部のスタッフとしてボルソナロ氏のキャンペーンを支えていたが、この選挙期間中に、自分の役職の権限を越えた言動を行いはじめたことを理由に、PSLを追われた経緯がある人物だ。
大統領府内ではヴィラウヴァ氏が解任される前から、反オラーヴォ派のカルロス・アルベルト・ドス・サントス・クルス大統領府総務室長官が外務省でのいざこざを問題視し、仲介役としてロベルト・エスコート陸軍将軍をつけていたが、エスコート氏もレチシア氏らの解任を求めていたという。