ブラジル連邦下院の政府リーダー、マジョール・ウーゴ下議(社会自由党・PSL)は15日、「17日に予定されていた下院憲政委員会(CCJ)での意見書採決は、週明けになる」と発言した。15、16日付現地各紙・サイトが報じた。
社会保障制度改革の早期実現を望むボルソナロ政権にとり、CCJによる、社会保障制度改革を含む憲法改正案(PEC)の合憲性承認は最初のステップだ。
マジョール・ウーゴ下議は15日、「今日は(社会保障制度改革のPECではなく)強制予算関連PECの合憲性を問う議論と採決を行う。社会保障制度改革関連PECは合憲とする意見書の審議は16、17日、採決は週明け22日か23日」と発言した。同下議は、「今週一杯、(特に野党の)議員たちを議論で疲れ果てさせ、週明けには採決、承認に持ち込みたい」と語った。
社会保障制度改革を急ぎたい政府の思惑に反し、別の議題にCCJの1日が使われてしまったことには裏がある。
ボルソナロ大統領は、「要職ポストと引き換えに政党を手なづけて、法案成立へ―」という従来の政治手法を嫌い、先週の教育相更迭の際も、後任を政党の論理では選ばなかった。
これに不満を持つ諸政党は15日、「強制予算関連PECの合憲性審議を行うべき」との動議を出し、賛成50、反対5でその日の議題にのせてしまったのだ。これで、社会保障制度改革関連PECが後回しにされ、15日の日程は強制予算関連PECに関する審議と採決でつぶれた。
ボルソナロ政権に真っ向から対立する左派の野党は、議会にも委員会にも存在するが、逆に政府の方針に沿って動く強力な連立与党は存在しない。
野党が委員会で駆使する、政府側を消耗させようとする露骨な戦術に対し、「社会保障制度改革におおむね賛成」と言ってはいる諸政党は、傍観を決め込んでいる。
大統領所属政党の社会自由党(PSL)議員たちでさえ、「社会保障制度改革PECの採決を遅らせようとする試みに反対し、負けては格好がつかない」と、あっさり譲歩した。だが、CCJ委員長のフランシスキーニ下議(PSL)は、「強制予算関連PECの審議と採決を割り込ませることに反対し、多数決で負けたほうがまし」と苛立ちを隠さなかった。
16日のCCJでは社会保障制度改革関連のPECの審議が行われたが、17日にPEC承認との希望を捨てきれないロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)はこの日、「CCJで100通もの意見陳述申請が出るのは尋常ではない」とし、一向に進まないCCJの審議に苛立ちを見せた。