【既報関連】昨年に続く大型スト実施をほのめかしているトラック業界の不満を抑えるため、連邦政府は16日に、社会経済開発銀行(BNDES)を通じ、同業界限定で5億レアルの融資を行うと発表したと17日付現地各紙が報じた。
オニキス・ロレンゾーニ官房長官は会見の席で、「この件は内々にトラック輸送自営業者たちには伝えていた。対象者は、一つの納税者番号(CPF)で登録しているトラックが2台までの業者に限られる。融資限度額は1人3万レアルまで。車体整備などに使ってもらえばいい」と語った。
ロレンゾーニ官房長官、タルシージオ・フレイタス・インフラ相、パウロ・ゲデス経済相、アルブケルケ鉱山動力相、クルス秘書室長官、ペイショット総務室長官の6閣僚は発表前日、大統領府に集まり、ディーゼル油価格に介入せずにトラック業界の生活を守る手段はないかと、4時間近くにわたって話し合った。
ロレンゾーニ官房長官は、トラック業者への融資計画と共に、政府がインフラ省に20億レアルを融通し、その資金で国道整備などを行う事も発表した。20億レアルの財源について問われた同長官は、「各省庁で負担を分かち合う方針で、詳細は経済省が検討中」と答えた。
20億レアルを投じての国道整備計画には、パラー州を走る163号線、マラニョン州内の135号線、マット・グロッソ州を走る242号線などが含まれている。
タルシージオ・インフラ相は、「最も重要なのは適正運賃を保証すること」と語り、そのための措置として、「国道の休憩ポイントの整備」「複雑な書類手続きの簡素化、電子化」「燃料カード作成と同カードによる燃料の安定供給」などを挙げた。
燃料価格の急騰で業界がコスト高に苦しむのを避けるため、ペトロブラス(PB)はトラック業界限定でのディーゼル油固定価格を設定することを検討していると、16日夜、パウロ・ゲデス経済相は語った。同相によると、この措置は米国でも採用されており、PBは数カ月前から同案を検討しているという。
「政府はトラック業界の人質(refem)では?」と、トラック業界への弱気な姿勢を問う声も出たが、インフラ相は「弱気というわけではない。トラック業界は労働条件の改善を要望しており、我々との公正な対話の結果、生まれたのが今回の案だ」と反論した。
PBの独立性は守らねばならず、価格介入以外の方法でトラック運転手たちの不満を解消したいとの思惑が、ボルソナロ大統領に近い筋からは漏れてきている。しかし、トラック運転手たちの反応は期待とは正反対で、ワッツアップで駆け巡ったメッセージの中には、「昨年の大型ストから1年になる5月21日に、もう一度ストをやろう」といったものもあった。