ボルソナロ大統領の鶴の一声でディーゼル油の値上げが6日間凍結された後の17日、ペトロブラスが、当初予定していた5・7%よりは低い、1リットルあたり0・10レアル(4・8%相当)の値上げを行うと発表した。市場はこれに好感を示しているが、トラック業界は値上げが行われることを不満としており、ストの可能性はまだ残っている。18日付現地紙が報じている。
17日、ペトロブラスのロベルト・カステロ・ブランコ総裁は、今回の値上げ率縮小は、「海運の輸送コストが下がり、予定していたほどの値上げをしなくて済んだため」と説明した。
また、同総裁は、今回の値上げ率縮小が連邦政府の介入によるものであることを否定。「大統領からは特に何も言われていないし、値上げの内容も大統領には告げずに発表した」とした。
同総裁は「燃料価格決定という点で、ペトロブラスが連邦政府から独立した機関であることを証明できた」とし、さらに、「製油所の売却に関しても、連邦政府からの理解が得られた」と語っている。
ボルソナロ大統領は11日、ペトロブラスがディーゼル油価格を5・7%値上げするとの発表を受け、昨年5月のような大規模なトラックストが起こることを懸念。同日夜、ペトロブラス総裁に「インフレ率以上の値上げをするのはいかがなものか」と電話した。
市場はその態度を「政府が介入した」と否定的にとらえ、12日のペトロブラスの株価は8%も下落。320億レアル相当の資産価値喪失となった。
これに対し、18日のサンパウロ証券取引所(BOVESPA)でのペトロブラスの株価は午前10時現在で3%上昇した。市場では、今回の値上げを好意的にとらえているようだ。
他方、ブラジル銀行のルーベン・ノヴァエス総裁は、「ペトロブラスが民営化されて競争原理が働けば、今回のようなディーゼル油の値上げも起こりえなかった」として、改めてペトロブラスの民営化を訴えた。同総裁は同様の理論でブラジル銀行の民営化も主張しているが、ボルソナロ大統領はペトロブラス、ブラジル銀行の民営化を共に反対している。
連邦政府は、今回の値上げ幅縮小と、16日に発表した、トラック業界への5億レアルの投資などの対策により、同業界が起こそうとしていたトラックストは回避できると楽観的な見方を行っている。
だが、トラック業界はまだ、今回の値上げ発表を不満としている。業界のリーダーたちは、「10日以内のストがありうる」とも語っている。