今月30日に今上天皇陛下が退位され、翌5月1日に皇太子殿下が天皇陛下に即位される。この改元に合わせて改装したサンパウロ市のブラジル日本移民史料館7階(Rua Sao Joaquim, 381)では再開館式が30日午後4時から行われる。同日夜7時からは、主要日系五団体共催の「新天皇ご即位・新元号『令和』祝賀晩餐会」が同文協で催される。コロニアからも天皇陛下への感謝の思いと「令和時代」への期待を込め、節目を盛大に祝う予定だ。
山下玲子リジア史料館運営副委員長によれば、7階の再開館式には市長やサンパウロ州の文化局長を来賓として招待している。同式では「ブラジル移民史料館」と書かれた石碑の除幕式を挙行。9階では天皇皇后両陛下の写真展を開催し、スポンサー企業30社によるテープカットも行われる予定だ。
改装した7階の入り口を入ると、鎧や兜など日本の伝統文化を紹介するスペースが新設される。山下運営副委員長によれば、このスペースは「日本人であることを子孫も忘れず誇りに思ってほしい」との願いから設置。「日本の工芸品は高度な芸術である」と実感してもらうため、目の前で見られるよう展示される。
以前からある開拓当時を示す展示は、機材を新調、新手法を取入れた。開拓小屋や動物の剥製以外にも、原始林の写真を展示。「当時の生活を体験的に知ってもらうシナリオを作った」と山下運営副委員長は説明する。
9階の写真展では、入って左側に、67年、78年、97年の三回にわたり天皇皇后両陛下がご来伯された当時の貴重な写真パネルが18枚ほど奉掲される。また、入り口正面にはスクリーンを設置し、ご来伯当時の映像も流す予定。さらに入って右側には、新しく天皇陛下となる現皇太子殿下の写真も数枚飾られる計画だ。なお、写真展は5月1日から8月末まで開催する予定だという。
史料館は、78年6月18日の移民の日に皇太子同妃両殿下(当時、現天皇皇后陛下)のご臨席のもとで開館した経緯がある。さらに、移民百周年の08年には、当時進められていたアーカイブ・プロジェクトに御下賜金も下賜された。「三度もご来伯され感謝の気持ちを表したい」と山下運営副委員長は意気込む。
新しい時代を祝した晩餐会には、主催の文協、援協、県連、商議所、日文連等のほか、在聖総領事館からも出席する予定。盛大に祝うため来場を呼びかけている。
当日は国歌斉唱、繁栄を表現する万歳三唱、乾杯等が行なわれ、18年の日本移民110周年委員会から、活動報告書が配布される予定だ。
晩餐会の参加費は150レアル。申込み期限は24日まで。申込み・問合せは文協事務局(電話=11・3208・1755、メールアドレス=atendimento@bunkyo.org.br)まで。
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日本移民史料館の山下玲子リジア運営副委員長は、五世、六世へと世代交代をしている日系子弟に対し、「日本人が先祖であることを忘れず誇りを持ってほしい」と繰り返していた。その意味も込めて、7階にある史料館の表札を、金属版から石碑に変えたとか。石は最も長く保存できるもの。「移民史の史料館として長く保つ」という思いを今回表現したように、次世代にも続くよう願いたいところ。