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「ブラジルを良くするために」=ポ語で日本文化語る講演会=質疑応答盛り上がり1時間も

講演する諸川さん

講演する諸川さん

 ブラジル日本会議(徳力啓三会長)、ブラジル漫画協会(佐藤フランシスコ紀行会長、Abrademi)、三重県人会(下川孝会長)が共催する「日本文化講演会」が21日午前9時から4時間にわたってサンパウロ市の三重県人会館で開催され、非日系人が半数以上を占める約90人が詰めかけて熱心に聞いて、質疑応答をした。日本文化の本質的な議論が終始ポ語で行われるという、ブラジル社会への広がりを予感させる新イベントとなった。

 最初に安部順二元モジ市長が挨拶に立ち、「日本は世界に冠たる工業大国。そうなった秘密は教育にある。良い部分をコピーする事は恥ずかしいことではない。ブラジルは世界に冠たる多文化・多民族国家であり、二人の講演者の話をじっくり聞き、異文化をどんどん吸収してブラジル発展に活かしましょう」と熱弁を奮った。

熱弁をふるう諸川さん

熱弁をふるう諸川さん

 一人目の講演者、ブラジル日本語センターの諸川有朋さんは、現在までに5千冊も刊行してコロニア・ベストセラーとなった自書『日本人の特質』の内容を話した。
 「働き者には福があり、働かざる者食うべからず」「恩を忘れず、感謝する」「法律や規則を守る」「協力精神を持つ」などの日本人の特徴を挙げ、「ブラジルを良くするために重要な考え方がここにある。特に正直さ、勤勉さ、忍耐強さは大事。社会に広めましょう」と呼びかけて拍手を浴びた。

講演する佐藤紀行さん

講演する佐藤紀行さん

 佐藤紀行さんは、日本を紹介する短いビデオを2本流した。日本の小学校では子どもたちが話し合って役割分担して給食を用意して配膳し、食器を片付ける。掃除も自分でやることで環境への意識を高め、集団行動、公共に尽くす精神を滋養する様子が映し出された。
 佐藤さんは「地震や台風などの自然災害が多い日本の風土が、協力し合う精神、公共を重視する風潮を育んだ。400年前の津波の到達点に碑石を置いて、ここから下に家を建てるべからずと警告し、それを守る。後世の人のことを考えて行動し、子孫も歴史を尊重する」と文化の背景を説明した。

質問に丁寧に答えるクリスアーネさん

質問に丁寧に答えるクリスアーネさん

 最後に質問時間となり、10人以上が次々にマイクを握り、佐藤クリスチアーネさんが1時間も熱心に解説した。非日系人から「イギリスには王室を無くす運動をする人たちがいるが、日本ではどうか?」との質問も飛んだが、「イギリス王室は400年ほど前にドイツからきた王様から始まったのに対し、日本の皇室は2700年近く前に始まったもので、いわば日本文化そのもの。そのような運動はない」と答えるなど、ブラジル人の目から見て不思議に感じられる日本文化の諸相ついて様々な質問が投げかけられた。

右端がエドゥソンさんと家族の皆さん

右端がエドゥソンさんと家族の皆さん

 母や兄弟と来場していたエドゥソン・カルヴァーリョ・ジュニオルさん(28)は「日本文化の価値観を知ることで、ブラジル発展に役立てられると確信した。特に教育の在り方には深く感動した」と述べた。
 当日来場者が持ち寄った衛生用品は、希望の家に寄付された。