23日晩、下院の憲政委員会(CCJ)が、社会保障制度改革法案を48対18で承認した。同法案は政府が提出してから62日後のCCJ通過となったが、これは、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)と、中道政党集団「セントロン」による調整の結果といえる。24日付現地紙が報じている。
ボルソナロ政権が社会保障制度改革法案を提出したのは2月20日だったが、連邦政府のアルチクラソン(政局調整)の不手際もあり、なかなか「第一段階」と目されていたCCJでの承認にこぎつけることができずにいた。
だが、マイア議長がCCJを後押し。法案そのものも、ブラジル共和党(PRB)や進歩党(PP)といったセントロン政党の意向をかなり呑んだ形での承認となった。
この日、承認された法案は、当初改革法案に盛り込まれていた、「定年退職せずに働いている労働者への勤続期間保障基金(FGTS)の積立継続と、一方的に解雇する際にFGTSの積立金の40%の罰金の支払いの停止」「税に対する訴訟特権(控訴の権利など)の変更」「社会保障制度改革の将来的なシステム変更を行政だけに託す」「最高裁判事なども含む、公的機関に就いている人たちの強制退職についての規定変更」の4点が外されている。
改革案通りに事が進めば、連邦政府は1兆1千億レアルの財政支出を抑えることができ、2023年には公的負債の拡大も止まるという。
マイア議長はCCJでの審議の後半を見守った後、DEM、PRB、PPの議員らと、同法案に関する特別委員会設置について話し合った。特別委員会設置は25日の予定で、各政党のリーダーたちにも、それまでに委員を指名するよう要請した。特別委員会の報告官には、パウロ・ゲデス経済相や社会保障労働特別局のロジェリオ・マリーニョ局長らの意向を汲む人物が選ばれる見込みだ。
特別委員会の中心となるのは、ボルソナロ大統領の社会自由党(PSL)ではなく、セントロンだと予想されている。現時点で委員長に名前が挙がっているのは、マルセロ・ラモス下議(共和党・PR)だ。特別委員会は最大66人で構成され、10回目の審議までに改革案の変更案(変更動議)を提出。変更案も含めた改革案審議には最大40回が費やされる。
特別委員会で承認された改革案は下院の本会議にかけられる。全体投票で308票以上の賛同を得れば法案承認となり、上院に回される。
マイア議長はCCJでの改革案承認後、「まずはボルソナロ大統領自身が、社会保障制度改革がブラジルにどんな利益をもたらすかを理解する必要がある」とし、政府そのものが社会保障制度改革や財政改革に本腰を入れて取り組むよう、促した。