日本を代表する実業家で、京セラを創立した稲盛和夫塾長による経営塾「盛和塾」が今年末で解散し活動を終える。ブラジル盛和塾(山田勇次代表世話人)は本部の決断に従って今年末にいったん解散し、名前を変えて経営哲学の勉強会を続ける意向であることが関係者の話で明らかになった。新名称などの今後の詳細は協議中だが、日本語で勉強会を行なう一世と、ポ語で行なう二世とブラジル人がそれぞれ集まって経営哲学を学ぶ活動を今までどおり続けていく方針だ。
盛和塾の名前と稲盛和夫氏の名前を前面に出さなければ、経営哲学を学ぶための活動は日本の本部が許可していることを受け、ブラジル盛和塾では塾生の総意として、いったん解散するが塾の名前を変えて勉強会を続ける考えだ。
一世塾生は集めてきた資金を、経営哲学を学びたい二世及びブラジル人の塾生のため、稲盛氏の本やその講演DVDのポ語翻訳に使ってきた。詳細は今後、じっくりと話し合う中で決めていく予定だ。
日本の報道によれば、中国では盛和塾での活動を終えた後も当面活動を継続する方針を固めている。稲盛氏の経営哲学は現地でも高く評価され、中国の塾生は全体の約半数を占めるまでになった。そのため、同氏自身が活動継続を認めたと報道されている。
盛和塾は、国内56、ブラジル、中国、米国等の海外に48支部が設立されており、全世界で約1万4千人の経営者が所属し経営哲学を学んでいる。
ブラジル支部は、海外初の支部として1993年に設立。現在は一世のみならず、二世やブラジル人の塾生も所属している。日本で開催されている3千人が参加する世界大会では、山田勇次さん、二宮邦和さん、久枝俊夫さんの3人が最優秀賞を受賞していた。
日本本部の盛和塾は稲盛氏が高齢であることを受け、18年12月に19年12月末に解散すると決定。「個人の経営哲学の集積である塾を引き継ぐと考え方や組織のあり方が変化するのでは」という同氏の危惧から塾は引き継がれず、93年に始まった同塾は一代で終わることとなった。
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ブラジル盛和塾は本部の意向を受けて解散・改名し、経営哲学の勉強会を続ける事となった。しかし、中国の同塾に関しては、稲盛和夫氏自身が一転し、存続を認めたのだとか。中国は07年に最初の塾が発足してからあっという間に37の塾が設立し、塾生数は全体の半数である約7千人を占めている。中国人経営者にそこまで受け入れられた理由は、同塾の基盤が儒教と仏教の教えからきているからかも。儒教の“本家”ともいえる同国の悩める経営者に受け入れられやすいらしい。人数が多いとはいえ、日本の本部が解散するのに、中国だけ認めるのは…。ブラジル等の他国も認めてもいいのでは?