ブラデスコ銀行(以下「ブラデスコ」)が6日に、米国のBACフロリダ銀行(以下「BAC」)を5億ドル(およそ20億レアル)で買収すると発表した。6、7日付ブラジル各紙、サイトが報じている。
BACは創立45年を迎える銀行で、高所得者層を中心とする顧客が約1万人いる。顧客の大半はフロリダ州以外の場所に住んでおり、顧客の22%を占めるブラジル人も、大部分が米国外居住者だ。昨年の実績は、総資産22億ドル、純資産2億600万ドルで、純利益は2900万ドルだった。
ブラデスコはこの買収で、BACが抱える富裕層の顧客向けの取り引き(投資アドバイザーや不動産購入融資、口座管理、クレジット決済管理など)の拡大を狙っている。また、米国法人との取引拡大も視野に入れている。
ブラデスコのオクタビオ・デ・ラザリ社長は、「BACの買収により、我々は米国での事業に橋頭堡を得ることができる。我が社は従来、富裕層向けのプライベートバンク事業が弱かった。買収はその弱点を補うためのもの」と語った。
ブラデスコは、ブラジル人の顧客がスマートフォン一つで米国に口座を開設し、利用するようになることを期待している。デ・ラザリ社長は、「裕福なブラジル人顧客が米国に口座を開き、投資する方法を増やしたい。ブラジルにいながら現地口座の残高もわかるし、米国に持っている家の光熱費だって払える」とし、「当行既存のプライベートバンク事業は継続する。BACの買収によって、顧客の選択肢が増える」と語った。
同社は同行買収を、ブラジル人が米国に有している約4千億ドル(約1兆6千億レアル)の投資を取り込む手段の一つとみなしている。
同社長によれば、BACはニカラグアのペラスグループが持っていたもので、中米でもいくつかの分野で活動していた。そもそも売りには出されていなかったが、1年に及ぶ交渉の末、買収合意に達したという。
買収成立にはまだ、両国の監査機関による法的承認が必要で、それが出るのは6~8カ月後と見られているが、買収合意の報は、専門家たちには好意的に受け止められている。
市場分析会社のイレブン・フィナンシャル・リサーチ社は「戦略的に重要な一手」と評価。BACは、米国在住外国人がフロリダ州に不動産を購入する際の主要な融資引き受け手だ。また、フロリダ州は、富裕層のブラジル人の移住先として最も人気のある行き先の一つでもある。
また、シティグループも、「買収額は決して安くないが、これにより、ブラデスコは最も収益性の高い分野での競争力を高めることができる」と評価している。
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