7日、前陸軍司令官のエドゥアルド・ヴィラス・ボアス氏が、ボルソナロ大統領に影響を与える極右思想家のオラーヴォ・デ・カルヴァーリョ氏に関し、「国に迷惑」「病人」などと罵り、かねてから強く対立していた同氏と軍の関係の悪化をうかがわせている。7日付エスタード紙が報じている。
ボアス氏は6日、エスタード紙の取材に対し、軍の立場を「国の平静を保つ立場にあり、それは大統領も理解していることだ」とした上で、軍人閣僚は「国を共産国家にしてしまう」などと挑発してくるオラーヴォ氏に対し、「もう、とうの昔に限度を超えている。軍への侮辱は甚だしいし、グルを気取っているくせに、教育に不可欠なことを何も知らない」と評価。さらに「時々、病人なのかと思うことさえある」と語っている。
ボアス氏は大統領府安全保障室(GSI)長官のアウグスト・エレーノ氏付きの特別補佐官で、オラーヴォ氏が、アミウトン・モウロン副大統領やサントス・クルス大統領府総務局室長、エレーノ長官ならびに軍への批判を繰り返していることについて、「軍や軍人閣僚への不適切な批判は重大な問題」との認識を表明した。
現在、オラーヴォ氏と特に強く対立している軍人閣僚はサントス・クルス氏だ。同氏は、外務省内のオラーヴォ派理事のレチシア・カテラーニ氏とマルシオ・コインブラ氏が、外相のエルネスト・アラウージョ氏が同じくオラーヴォ派であるのにつけこんで権限を拡大し、彼らより役職が上の国家輸出振興庁(APEX)長官を、今年に入り2人も解任させたことを問題視していた。これら2人の理事は、6日にAPEX長官に就任した海軍出身のセルジオ・セゴヴィア氏が同日付で解任している。
サントス・クルス氏は、ネット上でオラーヴォ氏を支持する強度のボルソナロ信者の言動に対し、「規制をかけるべきだ」と発言し、オラーヴォ派との論争にも巻き込まれていた。
ボルソナロ氏が軍や軍人たちへの敬意を表明しているにも関わらず、オラーヴォ氏や、ボルソナロ氏の次男カルロス、三男エドゥアルドの両氏が軍人閣僚への攻撃を続けていることに関しては、「それはオラーヴォ氏の影響だ」と発言。これまで、この問題に正面から対処してこなかったボルソナロ大統領については、「しっかり考えないといけないことだ」としている。
ボアス氏は、エスタード紙からの取材の前にもネット上でオラーヴォ氏を批判。オラーヴォ氏が繰り返し批判するマルクス主義の思想家の名前を使い、「彼は右翼版トロツキー」と皮肉る場面も見られた。