ボルソナロ大統領(社会自由党・PSL)は7日、地域開発省を自治省と国家統合省に分割することに合意したと、8日付現地各紙が報じた。
これは、閣僚ポストを希望する政党に譲歩した方策だ。ただし、譲歩の交換条件は、「社会保障制度改革への賛成」ではない。
選挙公約の省庁削減を果たすため、ボルソナロ政権が1月初めに出した暫定令(MP)870号がまだ承認されていない(承認期限は6月3日)ため、セントロンと呼ばれる小政党のグループが賛成する条件としての省庁分割だ。
MP870号には「閣僚の数を29から22に減らす」などの条文が含まれている。これが6月3日までに承認されなければ、既に発足5カ月となるボルソナロ政権の法的整合性が危うくなる。
「地域開発省を自治省と国家統合省に分割」すると、閣僚数は1増えるが、これは、中銀総裁を閣僚扱いから外して調整する。また、現職のグスタヴォ・カヌート地域開発相の今後は不透明だ。
「『政党に閣僚職を与える形の多数派工作』といった、旧い手法はとらない」と言っていたボルソナロ大統領だが、自治相の人選はロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)に、国家統合相の人選はダヴィ・アルコルンブレ上院議長(DEM)にゆだねる方針だ。
513人の下院議員の内、250人が参加しているセントロンの“代弁者”と言ってもよい、ア議長とアルコルンブレ議長に閣僚の人選を任せることは、MP870だけでなく、社会保障制度改革の進展まで見据えた大統領側の妥協だ。
自治相には既に、元下議で現在はサンパウロ州都市交通局長のアレシャンドレ・バウディ氏(進歩党・PP)が有力視されている。
大統領は、「両院議長の訪問を受けた。彼らは閣僚の権限割り振りの仕組みを変更することを望んでいたが、私も別に反対はしない。二つの閣僚職は、(政党ではなく)“地方自治推進グループ”に任せるのだ」と語った。
PPはセントロンの中でも中心的な存在で、左派の労働党(PT)政権下も含め、長年、自治省と国家統合省を抑えてきた。自治省は持ち家政策のミーニャ・カーザ・ミーニャ・ヴィダの予算も握っていたため、汚職の温床になりやすく、ラヴァ・ジャット作戦の捜査のターゲットになった議員も多数出ている。
経済省はまだ、閣僚システム変更(省庁の統廃合)により、国家支出にどんな影響が出るかを明らかにしていない。
セントロン内には「この程度の変更では不十分、MP870号に賛成するかはまだ未定」と語る議員もいる中、上下両院合同委員会では8日から、MP870号承認問題が審議される予定だ。