ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》社会保障制度改革=特別委員会にゲデス経済相が出席=改革の必要性を強く訴え

《ブラジル》社会保障制度改革=特別委員会にゲデス経済相が出席=改革の必要性を強く訴え

パウロ・ゲデス経済相(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

パウロ・ゲデス経済相(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

 【既報関連】社会保障制度改革案のための憲法改正案(PEC06/19)の審議のために開設された下院の特別委員会に8日、パウロ・ゲデス経済相が出席し、改めて社会保障制度改革の必要性を訴えたと、9日付現地各紙が報じた。
 経済相は、「赤字垂れ流しの社会保障制度は、ブラジルを飲み込んでしまうほどの大きな穴だ。改革が成立しなければ、年金の支払いもままならなくなる。40年前は、14人で1人の年金生活者を支えていた。今は7人で1人。現職議員の子や孫の世代が年金を受け取る頃にはたった2、3人で1人を支えなくてはならない。このままでは立ち行かない」とした。
 また、「国内には、野党の政治家が知事を務めている州もある。そうした州でも、人件費や職員の年金支払いに苦労しているではないか」とし、議員たちから特に評判の悪いカピタリザソン(労働者各自の積み立て額、期間、運用成績に応じて受給額が変動する仕組み)も再び擁護した。
 これに対し、ブラジル社会党(PSB)のアレッサンドロ・モロン下議は、「カピタリザソンが過度に資本主義的とか、そんな理由で反対しているのではない。単純に上手くいかないと思うから反対なのだ」と反論した。
 4月の憲政委員会で起きた「金持ちに媚びるお嬢ちゃん。貧乏人には虎のように冷徹」発言や騒動のような混乱を避け、ゲデス経済相を野党からの激しい“口撃”や挑発から守るため、社会自由党(PSL)は委員会の運営戦術を練り直して臨んだ。
 会場の最前列を与党議員で固めたり、野党議員一人一人にマークをつけたりするやり方を、地元紙は「アメフトのような防御隊形」と表現した。
 野党側はそれでも、ゲデス経済相の個人的な投資活動に違法の疑いがあることを持ち出して挑発したため、同相は、「下劣な本性を現したな。法案の良し悪しの議論でなく、対立者を攻撃するのか。今裁きを受けているのは誰か見てみろ。今監獄にいるのは誰か見てみろ」と反論した。
 その後も、野党の攻撃とゲデス大臣の反撃が続いたため、委員長のマルセロ・ラモス下議(共和党・PR)は両者に落ち着くように求め、「当委員会が、政治的な立場の違いに基づいた、ただの口論の場となることは許容できない」と語った。
 
国民の約6割は社会保障制度改革に賛成

 8日にはまた、調査機関Ibopeが、ブラジル人の59%は社会保障制度改革に賛成で、反対は36%だったと発表した。この調査は、4月12日から15日までの間に国内126市の住民2千人を対象に行われた。
 社会保障制度改革の内容を詳しく知っていると答えたのは6%に過ぎず、大体知っていると答えた人も30%だった。