【既報関連】9日、暫定令(MP)870号を審議していた上下両院合同委員会で、法務省管轄下だった金融活動管理審議会(Coaf)を経済省の管轄下に置くことが決まり、議会に対する連邦政府の政局調整(アルチクラソン)力の弱さが露呈。汚職撲滅を謳い文句にしてきた現政権の計画が大きく狂う可能性も出てきたと、10日付現地紙が報じている。
合同委員会での投票の結果、14対11でCoafを経済省管轄下に置くことが決まった。資金洗浄などを扱うCoafを法務省の下に置くことは、汚職撲滅を約束したボルソナロ大統領がセルジオ・モロ氏を法相に指名した時から描いていた戦略の一つだったが、それが覆されたことになる。
経済省に戻すべきとしたのは労働者党(PT)などの野党議員だけではなく、連邦政府内に3人の閣僚を持つ民主党(DEM)や、進歩党(PP)や社会民主党(PSD)などの中道勢力「セントロン」の議員も入っている。これらの議員はCoafの捜査対象になった経験がある。
Coafが汚職撲滅の鍵とされるのは、不審な金の動きをいち早くとらえ、捜査担当部署に通達するためだ。昨年12月には、リオ州議時代のボルソナロ氏長男フラヴィオ上議(社会自由党・PSL)の職員ファブリシオ・ケイロス氏を巡り、幽霊職員からの振込みなどの不審な金の動きが確認され、話題を呼んだ。
中には「Coafは1月に法務省管轄になってから機能しなくなっている」と指摘するDEMの下院リーダー、エウマール・ナシメント下議のような人もいる。
だが、モロ法相はこの敗北を「連邦政府のアルチクラソン不足」と見ており、「Coafが法務省に置かれるべき必然性を説いても、説得できなかった」としている。
同様の印象はボルソナロ大統領の政党のPSLも抱いている。この敗北後、大統領はPSLの下議らと話し合いを持ったが、「MP870号を無効にさせないでほしいとは頼まれたが、今回の結果に不満そうには見えなかった」と同党副リーダーのフィリペ・バロス氏は語っている。
MP870号に関しては、農務省管轄の農地改革院(INCRA)に移されていた先住民保護区決定権が国立インジオ保護財団(FUNAI)に戻され、FUNAIそのものも人権省管轄下から法務省管轄下に戻されるなどの敗北もあった。
なお、MP870号は委員会後に下院本会議に回されたが、議事進行の過程でロドリゴ・マイア議長が方針を変えて他の暫定令を先に審議することにしたため、来週以降の継続審議となる。
MP870号は省庁統廃合で閣僚数を29から22にすることを定めたもので、6月3日までに上下両院の本会議で承認されないと無効となる。その場合は省庁数などを以前の状態に戻すか、現状維持のために別の暫定令を出す必要が生じる。
ボルソナロ大統領は9日夜、Coafを法務省管轄下に戻すことなどを要請するメッセージをネット上で流した。